ライフ

日本の「色の流行」70年代は黄緑、90年代はピンクがブーム

ヒット商品を生み出した色とりどりの戦略とは

ヒット商品を生み出した色とりどりの戦略とは

 推古11年、聖徳太子は冠位十二階を色で区別し、濃紫を最上級、薄黒を最下級とした──。かくのごとく古代から日本人は色にこだわってきたが、その正確な分類は近代まで待たなければならない。日本色彩研究所・シニアリサーチャーの名取和幸氏が語る。

「1927年に画家の和田三造氏が日本標準色協会を設立し、色と色名や記号の規格作りが始まりました」

 戦後の経済発展において、色は視覚的に人を引きつけ、心理的な影響も与える重要な役割を担ってきた。1960年代、「新・三種の神器」のひとつであるカラーテレビが高級なイメージを生み、自動車も青、黄色など多様な色が人気を得た。1970年代には公害が顕在化し、エコロジー社会の到来を機に、カーキ(鈍いイエロー系~黄緑色)などのアースカラーが流行する。

 1980年代初頭からバブル期には、黒が高級色として認知される。1982年にヨウジヤマモト、川久保玲がパリコレで発表した“黒いファッション”が火付け役となり世界中で人気を呼んだ。

「1954年から銀座の街頭で女性の服装を調査していますが、1980年代後半に一気に黒が増加しました。以前は喪服の印象もあって1割程度でしたが1990年代以降も定着しました」(名取氏)

 同じ頃、自動車産業でも日産「シーマ」などダークカラーが大ヒット。2000年前後には、トヨタ「ヴィッツ」がピンクの車体で旋風を巻き起こした。

「CMで女性社長が子どもを保育園に預けた後、颯爽と出社するシーンを描きました。色も紫っぽいピンクにして、クールさを醸し出した。草食系男子という言葉が浸透する2009年頃になると、男性がピンクを身に付ける機会も増えました」(日本流行色協会・大澤かほる氏)

 今年の箱根駅伝では、約8割の選手がピンクのシューズを履き話題となった。推古時代の冠位十二階にはなかった色が、令和時代に脚光を浴びている。

※週刊ポスト2020年10月30日号

1981年に塗装した都バス

1981年に塗装した都バス

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト