国内

『半沢直樹』が巧みに描いた日本のジェンダーのリアリティ

女性が2人の内閣

 先月発足した菅内閣の女性閣僚は2人。これを日本で女性の社会進出が遅れていることの証左だと批判する声もある。ジェンダー問題に詳しい『「男女格差後進国」の衝撃』の著者・治部れんげ氏は、LGBTの人々も働きやすい職場づくりを支援するNPO法人「虹色ダイバーシティ」の代表・村木真紀氏との対談で、日本の「男社会」の特徴を指摘。それは社会現象にもなったあの人気ドラマでも描かれていた。

 * * *
治部:菅内閣の閣僚を見たとき、自分で自分にショックを受けたんです。実は私、何とも思わなかったんです……。知り合い、それも特に男性が「高齢男性ばかりでおかしいだろう」って言うので、そこでやっと「あっ、そうだった!」って。そもそもこれまで見慣れ過ぎているので、ノイズキャンセリング機能みたいな感じでスルーしちゃったんです。そのあと、フィンランドの内閣の写真など比較対象が目に入ると、「やっぱり日本の閣僚の男女比は当たり前じゃないな」って実感して。反省しています。

村木:フィンランドは閣僚も若い女性が多いですし、世界最年少の首相であるサンナ・マリン氏は、女性同士のカップルの家庭で育った女性だったりもしますよね。

治部:素敵ですよね。子どもと一緒に「ほかの国はどうなってるんだろうね」って言いながら検索してみたんですよ。そうしたら、トランプ政権ですら、まあまあ女性もいるし、カナダなんかは本当に多様で、ターバンを巻いた方もいて。

村木:台湾のIT大臣やベルギーの副首相はトランスジェンダー女性です。ベルギーだけでなく、欧州では首相や閣僚がLGBTというのは珍しくありません。ジェンダーやセクシュアリティに関係なく、能力のある人が選ばれてるんですね。

治部:大人気だったドラマの『半沢直樹』。色々な記事が既に出ていますが、個人的におもしろいと感じていたのが、銀行と政治の社会が露骨な「男社会」として描かれていたこと。その中で江口のりこさんが演じた国土交通大臣は白いスーツを着て、いつもしかめっ面をしている。彼女の表情って完全に幹事長と同じ。あと、政府系金融機関で“鉄の女”と称される優秀な女性の方が出ていて、その方も基本、無表情なんですよね。ダークスーツで無表情。男社会に入っていく本当に数少ない女性を、かなり上手く描いていたと思います。井川遥さんや上戸彩さんのような「ナチュラル」な女性との対比は、今の日本の姿そのまんまだと感じました。

関連記事

トピックス

大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
盟友・市川猿之助(左)へ三谷幸喜氏からのエールか(時事通信フォト)
三谷幸喜氏から盟友・市川猿之助へのエールか 新作「三谷かぶき」の最後に猿之助が好きな曲『POP STAR』で出演者が踊った意味を深読みする
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン