「SNSやフリマアプリなど、認証が必要なサービスについて、1件あたり数千円程度で認証の代行を請け負うという書き込みが多く見受けられ、警察も監視に乗り出しています。こんな業者、当たり前だけどまともじゃありませんし、使う方も、SNSやフリマアプリを詐欺に使うなど、ろくなことはしません」(社会部記者)
筆者の取材によれば、今回使われた「約4万件の電話番号」というのは、厳密に言えば携帯電話が4万台も積まれている状態ではなく、4万枚のSIMカードである。通信事業者と契約すると、SIMカードには加入者を特定するID番号が記録される。それを通信端末に差し込めば、電話や通信機器として利用できるようになる。しかし、逮捕された3人が持っていた4万枚のカードをいちいち通信端末に抜き差ししていては、時間がいくらあっても足りない。
したがって、彼らのような事業者は、4万枚のSIMカードは数百枚から数千枚ずつ差込が可能な器具に差し込み、それぞれがあたかも「スマホ」のように使える状態にし、あとは機械的に認証作業を行うのである。そんな大量のSIMカードをどこから入手したのか。首都圏で複数の携帯電話販売店を運営する町田尚人さん(仮名・50代)が声を潜める。
「通常、個人で契約できるのはだいたい5回線程度と決まっています。生活に困り携帯番号を転売し、犯罪に利用されるなどの事例が相次いだためです。しかし、法人契約ではその上限がありません。反社会勢力が休眠会社を乗っ取るなどし、社員が数百人いるように装って携帯電話回線を数百件分契約すればよいだけ」(町田さん)
であれば、販売店側の管理がそれだけ杜撰なのか、と責任を問われる可能性もあるはずだが……。
「もちろん、販売店だって気をつけていますし、個人の新規契約と違って、法人契約では携帯キャリアからの報奨金が出ないなど、販売店のうまみもない。そこで暗躍するのは、ブラックな販売店。反社から弱みを握られた販売店や、そもそも反社が立ち上げた販売店を通じて、相当な数の携帯番号が流出しています」(町田さん)
特に最近では、コロナ禍で仕事や授業がなくなり、かといって帰国もできないという在日外国人たちが、目先の生活費のためにこうした犯罪に巻き込まれたり、加担している例も目立つ。来日歴の浅く、日本では何が禁じられているのか事情がよく分からない外国人を狙う反社の日本人も存在するのだ。