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2020.10.18 07:00  NEWSポストセブン

PayPayポイント不正入手事件 「携帯番号4万件」のカラクリ

2005年の携帯電話不正利用防止法施行以降、新規の携帯電話を準備するのは難しくなった(時事通信フォト)

2005年の携帯電話不正利用防止法施行以降、新規の携帯電話を大量に準備するのは難しくなった(時事通信フォト)

 今回のような認証代行業者が新規登録に使用したSIMカードは、そこで役目を終えるわけではない。一度認証に使われた番号は、同じアプリやサービスでは二度と新規登録には使えないため、他のサービスの認証に回される。認証作業を一通りくぐり、認証では使い道がなくなったSIMカードは、そのまま別の場所へ転売される。

 その別な場所とは、いわゆる「道具屋」と呼ばれるところで、主に特殊詐欺に利用される携帯電話や名簿などの「道具」を販売する非合法業者だ。持ち主が定かでない携帯電話を「飛ばし携帯」と呼ぶ。そんな出所があやしい携帯電話番号であっても、それ一つあれば、今では電子マネーをためておく口座代わりの「財布」を持てたり、電子マネーの現金化、そして詐欺にまで利用できる。まだまだ使い道が残っているというわけだ。そして詐欺に使えばすぐに警察当局に把握され該当の番号は利用できなくなるから、そこでそのSIMカードはすべての役目を終える。

 今回、4万件もの新規登録無料ポイントを悪用して逮捕された家族は、こうした不正入手ルートに現れた新たな「経由点」のひとつだ。かつて、不正入手された携帯電話(番号)は、単純に「道具」として利用されるため、販売店から経由地をめぐることなく道具屋に流れていた。だが、今では道具屋の手前の段階で認証代行業者を名乗るグループに渡るようになった。ポイントやクーポンを荒稼ぎできるという「うまみ」が発見されたため、その利益を掠め取る役目を、この家族が担っていたというわけだ。

 構図が見えることによって、分かってくることがある。3人家族が手を染めたのは、規模が大きめの家内制手工業ならぬ、家内制電子詐欺などという素朴な犯罪ではないということだ。日常的に犯罪と接するネットワークに存在する道具を活用し、今までにはないような驚くべき手法で金品を詐取する。もはや、一般人が小銭欲しさにやってしまった、と言うレベルを超え、様々な金銭取得の手段を持つ一つの犯罪組織が形成されてしまっているのだ。

 日進月歩で進化する様々な技術と、それに伴い、お呼びでないのに勝手に進化を続ける不正や犯罪。技術革新によって人々の利便性が上がるはずが、セコい悪事を大規模に働く者たちのために利便性に制限がかかり、人々の暮らしが窮屈なものになっている。そういった意味で、こうしたサイバー犯罪は、人類全体に被害を与えているに等しいのである。

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