『恋する母たち』の脚本を担当した大石さん
「小泉孝太郎さんをセクシーに変身させるのが今回の命題です」(大石)
柴門:木村佳乃さん(石渡杏役)、吉田羊さん(林優子役)、仲里依紗さん(蒲原まり役)──いまの芸能界を誇る最高のキャストだと思っています。意外だったのは優子の夫・林シゲオを「おぎやはぎ」の矢作兼さんが演じられること。キャストの皆さんは大石さんがお決めになられるのでしょうか。
大石:いえ、キャストは100%プロデューサーが決めます(笑い)。正直に言うと、どんなドラマでも脚本家にとってこれで満足というキャスティングはありません。でも撮影が始まって映像ができてくると、このドラマのキャストはこの人たちしかないという気持ちになってくる。
柴門:今回、まり役だけは、なかなか決まらなかったとうかがいました。キャストが決まっていなくても脚本に影響はないですか。
大石:原作があっての作品ですから、キャストを意識して脚本を書くというより、既存のキャラクターをより面白くすることしか考えていません。原作ありの脚本を書くのは、『家族狩り』(2014年、TBS系)から6年半ぶりになりますが、原作者がドラマ化されてよかったと思える作品を作ろうと心がけています。
作家の哲学を確実に拾い上げて、キャラクターを生かすようにしますね。ただ今回、斉木巧を演じる小泉孝太郎さんを、原作とは違ってセクシーに描いている。気難しいけれど魅力的な男。これまでの小泉さんのイメージを覆すような役どころです。そこだけは事前に柴門さんに許可をいただきましたね。
柴門:ええ。真面目な好青年役が多い小泉さんがワイルドな役を演じる、と。放送がいまから楽しみです。
【プロフィール】
柴門ふみ(さいもん・ふみ)/1957年生まれ。漫画家。1979年『クモ男フンばる!』でデビュー。代表作に『同・級・生』『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』(いずれも小学館)などがあり、ドラマ化された作品も多数。『老いては夫を従え』(小学館)などエッセイにも多くのファンがいる。
大石静(おおいし・しずか)/1951年生まれ。脚本家。1986年に『水曜日の恋人たち 見合いの傾向と対策』で脚本家デビュー。以降、『ふたりっ子』『セカンドバージン』(いずれもNHK)、『家売るオンナ』(日本テレビ系)、『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)など数多くの脚本を執筆し名ドラマを送り出す。
撮影/平林直己
※女性セブン2020年11月5・12日号