国際情報

FBIが中国スパイの啓発動画作成 CIAの暗部を描く内容も

アメリカの中国に対する警戒が強まる

アメリカの中国に対する警戒が強まる

 アメリカに対する中国によるスパイ活動が急増しているといわれる昨今。アメリカ連邦捜査局(FBI)と国家防諜安全保障センター(NCSC)は9月下旬、中国によるスパイ活動や米国の政府関係者をスパイに仕立て上げる事例などを具体的に描写した啓発動画を作成し、関係部署に配布していることが明らかになった。米政府機関が動画で、米国内での中国政府関係者による諜報活動を暴露するのは極めて異例だ。

 FBIのクリストファー・レイ長官が最近の演説のなかで「中国によるスパイ活動や米国からの技術盗用が横行し、いまや10時間ごとに中国のスパイ活動が報告されている」と注意喚起を行うなど、米政府は中国による国家ぐるみのスパイ活動阻止に向けて本腰を入れて取り組む姿勢を見せている。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。

 動画のストーリーは、中国系商社勤務のビジネスマンと称する中国人男性が元米海軍将校と接触し、「海底探査を支援する無人海底探査機」に関する報告書の作成を依頼するところから始まる。元将校は海軍時代の同僚だった現役の海軍将校と連絡をとり、海底探査に関する米海軍の機密書類などを入手、中国人ビジネスマンに渡し、数万ドルの謝礼を受け取る。

 高額な謝礼に味を占めた元将校はその後も、海軍の機密書類などをビジネスマンに渡し続ける。しかし、あまりの頻度に不信感を抱いた元同僚が上司に報告したことで、元将校がスパイ活動をしていることが分かり逮捕され、裁判で懲役20年の実刑判決を受ける。

 実はこのストーリー、米中央情報局(CIA)の元職員ケビン・マロリーの逮捕に至るまでの実話をもとに制作されている。マロリーは2017年、上海へ旅行した際に中国の諜報員に米国の国防上の機密情報を売り渡し容疑で逮捕されている。動画には、マロリーの逮捕時の実写シーンも含まれている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン