本作の最大の見所は2人のラブシーンであることは言うまでもないが、終始SNSをざわつかせていたのが、パク・ソジュン演じる主人公ヨンジュンのキャラクターとセリフだ。ヨンジュンは、ハンサムで仕事もできるが、完璧主義者で何よりも自分が一番好きという究極のナルシスト。第1話の冒頭から、自己愛が強いあまり「眩しくないか?ぼくからにじみ出るオーラが!」と両手を広げるシーンなどナルシスト全開で、「ヨンジュン、こいつ~」と自分のことを名前で呼び自分の美貌にツッコミを入れるというシーンは、いまや名ゼリフとして語り継がれている。

 SNSでは、「副会長が登場すると歯茎が乾燥する(ずっと笑っているため)」「副会長から目が離せない」といったコメントで溢れ、回を重ねるごとに「このドラマ、タイトルを『副会長はいったい、なぜ?』に変えるべきでは?」といったコメントも多く書き込まれるほど、パク・ソジュンの演技が評判になった。パク・ソジュンのインタビューによると、「ナルシスト全開のセリフを言うのは最初は恥ずかしかったが、スタッフが笑っているのを見ると自信が付いた」と話している。

『キム秘書はいったい、なぜ?』は、ジャンルで分けるとロマンティック・コメディだが、会社での社員らの駆け引きや女性たちのファッション、ヨンジュンとミソの自宅インテリアを見る楽しみもある。また、ヨンジュンとミソのデートシーンには、韓国を代表する名所が多く登場するため、コロナで海外旅行が出来ないなかでも、韓国を旅する気分を味わえる。

 一度見始めたら最終話まで止まらないと評判の本作。秋の夜長にお供に、恋愛細胞を呼び起こしてみてはどうだろうか。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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