国際情報

「書類を読まないトランプ」と「ニクソンの辞任メモ」

激戦州ではトランプ氏が猛然と追い上げている(AFP=時事)

 テレビ討論会も終わり、大統領選挙は最後の支持呼びかけに入った。討論会での発言が批判されたトランプ大統領は、さすがに反省の色を見せていると報道されたが、数日経ってすっかり元通りになっている。民主党副大統領候補のカマラ・ハリス氏を「社会主義者だ」とレッテルを貼って攻撃し、白人至上主義者と同じ言葉を使ってマイノリティであるハリス氏を批判し、ひんしゅくを買っている。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が、アメリカの病巣の深さをリポートする。

 * * *
 アメリカは、この大統領選挙で大きく分断され、傷ついた。この憎しみに満ちた戦いを早く終わらせ、トランプ氏、バイデン氏、どちらが勝とうと、早く落ち着いた正常な日常を取り戻すことが多くのアメリカ人の願いである。

 トランプ大統領が誕生してから、アメリカは混乱に次ぐ混乱で、国内政策、外交政策に集中できず、国家として正常な動きが取れていない。どう言おうと、これが4年間最高権力者であったトランプ大統領の責任であることは間違いなく、国家と国民が陥った大きな問題への責任は今後も検証されることになるだろう。

 言うまでもなく、最大の問題はコロナである。トランプ大統領のミスマネジメントで、アメリカは史上最悪の感染症禍に陥っている。死者は22万人以上で、経済に与えた損害は計り知れない。安全保障や国際関係も脅かされている。その元凶は、まだ感染者がほとんどいなかった1月下旬から2月初旬には、すでに「空気感染もする極めて危険な致死性のウイルスである」と報告を受けながら、ほとんど何も対処せず、国民には「インフルエンザのようなものだ。すぐにウイルスは消える」と、根拠なき安全デマを広め続けたトランプ氏の言動にある。この事実は、結果の重大さを見ればもはや言い訳できない。

 議院内閣制の日本などでは、これだけはっきりと失政によって国民の命と国家の根幹を犠牲にすれば内閣総辞職が当然だろう。しかし、大統領制のアメリカでは、大統領の権限は絶大であり、任期中にその職を奪われることはほぼない。トランプ政権はこれまで、何度も重要閣僚が大統領の施政方針に反対して真っ当な政策を進めるよう進言したが、トランプ氏はそのたびに「Fire(更迭)」を使って政権維持してきた。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン