たとえば、同じ100gのほうれん草でも、それがどういう土で育ったかによって、含まれる栄養素が違ってきます。有機無農薬のいい土で育ったほうれん草と同様の栄養を摂るためには、そうでないほうれん草は大量に食べなくてはなりません。そして、大量に食べれば、それだけ農薬も体に入ってしまいます。とても非効率なのです。

 水耕栽培の野菜も同様です。今、工場と呼ぶにふさわしい建物内でつくられた水耕栽培の野菜がスーパーに並んでいます。もちろん、これら栽培法にも利点はあります。虫をつけないための農薬をほとんど使用せずに済みますし、それを食べることで最低限の栄養素や食物繊維が摂れます。

 しかし、土の力がないのでミネラル分はどうしても少なくなります。こうした野菜を口にして「自分は野菜は足りている」と考えるのは違うのです。できる限り意識して、いい土の栄養素をたっぷり吸い上げた緑の野菜を食べましょう。

※『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』(満尾正/著)より抜粋して再構成

米国先端医療学会理事の満尾正医師

【プロフィール】
満尾正(みつお・ただし)/米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界の最新医学が証明した 長生きする食事』(同)など。

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