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『鬼滅の刃』描く“優しい世界”、ストレス社会の大人癒した

興行収入107億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(写真/共同通信社)

 もはや社会現象とも言える記録的ヒットとなったアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。10月16日の公開初日から10日間の興行収入は107億円を超え、観客動員数も798万人を突破。歴代の興行収入ランキング1位に君臨し続けてきた『千と千尋の神隠し』(2001年)は、公開から25日間で100億円を突破したことを考えると、異例の事態とも言える人気ぶりだ。映画や演劇などに詳しいライターの折田侑駿さんが、ヒットの理由を考察する。

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 公開2週目にして興行収入100億円を突破し、文字通り「鬼映画」となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。口コミなどでも、「初めてでも楽しめた」、「バトルに感動するアニメは初めて」、「ハンカチとティッシュが必須」という “歓喜の声”で溢れている。本作で『鬼滅の刃』を初めて見た人も多くいたようだが、なぜここまでの広がりをみせるのか。

 今作は、吾峠呼世晴(31才)による人気コミックス『鬼滅の刃』(集英社)をアニメ化したものの劇場版。大正時代を舞台に、人喰い鬼に家族を惨殺されてしまった少年・竈門炭治郎が、唯一生き残ったものの鬼化してしまった妹・禰豆子を人間に戻すため、鬼狩りの旅に出る物語だ。「週刊少年ジャンプ」での連載は既に終了しているが、最新刊である22巻の時点で累計発行部数は1億部超え。日本人なら誰も知っている漫画『ドラゴンボール』や『SLAM DUNK』、『ONE PIECE』などに続くメガヒット作なのである。

 だが、『鬼滅の刃』がここまで社会現象化したのはアニメ化されてからのこと。2019年4月から9月までテレビ放送された「竈門炭治郎 立志編」は、原作の第1巻から第7巻の冒頭をアニメ化したもの。炭治郎と禰豆子の兄妹愛や、個性的な仲間たちとの友情、鬼たちとの手に汗握る戦いなどが視聴者の支持を集め、いまや子供から大人まで幅広い世代がハマる国民的アニメ作品となった。

 そんな作品の劇場版だが、先述したように、“一見さん”もちらほらいるようだ。今作は原作コミックの第7巻から第8巻の中盤あたりまでをアニメ化したもの。つまりテレビアニメ版の“続編”にあたる。筆者自身は「劇場版の前に、せめてアニメ版を見ておくべきだ」と思っていたが、実際に映画を観てみると考えが変わった。物語導入部の展開が非常にスマートなのだ。

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