それにしても、仮にミシュキン氏が民主党びいきだったとしても(上記の献金だけでそう断じるのはやや乱暴だが)、それを隠して彼の一存で「トランプ劣勢」を発表したとは考えにくい。そこに「伏線」が感じられるのである。筆者は選挙当日、あえてFOXニュースを中心に選挙特番を見ていたが、奇妙に感じたのは、トランプ氏の「首席補佐官」とまで言われていた人気アンカーマンのショーン・ハニティ氏の出番が明らかに少なかったのも奇妙に感じられた。トランプ氏とFOXの関係に変化があったのだろうか。
非常に興味深いものを見つけた。選挙直前の10月27日のトランプ氏のツイートである。
《The biggest difference between now and 2016 is @FoxNews. They are a whole different deal. Despite this, our campaign is doing much better, with bigger crowds and even more (much!) enthusiasm, than we had in 2016. Big Debate & SCOTUS Win! Real Polls have us winning everywhere!》
(現在と2016年の大統領選挙の最も大きな違いはFOXニュースだ。FOXと我々は全く異なった関係にある。それにも負けず、有権者は2016年よりも多く集まり熱狂している。討論会も最高裁も世論調査でも、我々はどこでも勝てる!)
ずっと蜜月が続いていたトランプ氏とFOXには、選挙前から亀裂があったようである。その後の動きを考えると、もともとFOXと良好な関係にある共和党の上層部が、選挙前から「トランプ切り」を考えていた可能性が高い。共和党重鎮たちは、選挙結果がバイデン勝利に傾くと、相次いでトランプ批判を始めた。トランプ氏の法廷闘争や敗北を認めないとする姿勢にも賛同していない。トランプ氏を「しっぽ切り」することで自分たちが生き残ろうという戦略に転換したのだろう。
さらに、頼みのTwitterなどのSNSでも、トランプ氏の発言を非開示にしたり、トランプ支持者のアカウントを停止したりするなど、強硬な措置が取られるようになった。
アメリカは「トランプを黙らせろ」という影なる力学で動き始めている。ただし、トランプ氏を7000万人以上の有権者が選んだことも事実だ。バイデン氏の得票との差はわずかである。強権でトランプ氏の口を封じれば、ますます暴動や混乱の危険も高まるだろう。