禁止された女髪結い。(F・ベアと撮影。1863(文久3)年。長崎大学付属図書館蔵)

女髪結のみ非合法の職業となる(F・ベアト撮影。1863(文久3)年。長崎大学付属図書館蔵)

 ところが、アジア・太平洋戦争が始まると、働き手の不足から女性の社会進出が進む。女性も軍需工場に動員され、過酷な労働条件のもと労働を求められたり、国防婦人会が結成されるなど、社会参加の機会も与えられた。

「しかし戦争が終わって男性が職場に復帰すると、女性は再び職場から去っていきました。踏ん張って働き続けた女性もいましたが、もともと男性の職場だったので、多くの女性は去らざるを得なかったのです」

 戦時中、科学研究や事務処理などの現場で計算への需要が高まるにつれ、「計算手」として働く女性も多かった。職場には近代的な労働の分業システムが導入され、高度な数学の知識はないが、計算機械などを操りながら素早く計算をこなせる「職人」としてのスキルが重宝された。

 国立歴史民俗博物館の教授で、『性差〈ジェンダー〉の日本史』のプロジェクト代表を務める横山百合子さんはこう話す。

「戦後は、24時間動き続ける最新のコンピューターに合わせた働き方が求められるようになり、プログラマーやシステムエンジニアは男性がメインの職業になりました。もともと女性が中心だった領域ですが、家事や育児など家庭内労働を重要視する風潮もあり、女性はキーパンチなどの単純作業を昼間に行う程度にとどまりました」

 GHQの方針もあり、1947年に労働省の婦人少年局が新設されると、男女の性差別廃止を目指す活動が行われた。

《男女同一労働同一賃金になれば》
《働く婦人よ 男子とともによい発言者となりましょう》

 こうした考えに、当時の女性たちは大いに励まされたという。70年以上も前のポスターに並ぶキャッチコピーに対し、「変わった」と思う人もいれば、「70年経っても同じ」と考える人もいるかもしれない。

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン