ライフ

高齢者の発熱どうすれば?「救急車で搬送」を避けるべき理由

発熱ですぐ救急車はNG

発熱ですぐ救急車はNG

 この冬は新型コロナウイルスとインフルエンザのW流行が懸念されているが、昨年と比べてインフルエンザの患者数は激減。もちろん油断はできないが、マスク、手洗い、外出自粛などのコロナ対策が功を奏しているともいわれている。

 とはいえ発熱すると即、新型コロナやインフルエンザを疑って慌ててしまいがち。高齢者ともなれば、なおさらだ。しかし、ほかにも見逃せない高齢者に多い病気があるという。東京都健康長寿医療センター高齢診療科部長の岩切理歌さんはこう語る。

「多いのは嚥下性肺炎。食事より、常在菌を含む唾液を何かのきっかけで誤嚥して起こる場合が多く、寝ている間に発症することもあります。発熱のほかに痰が絡むのも目安。歯科治療や歯磨きなどで口中を清潔に保ち、本人の咀嚼・嚥下能力に合った食事形態に見直すことも重要です。

 また尿路感染症は排尿障害により残尿が増えることでも起こりやすくなります。通常は膀胱炎に伴う痛みがありますが、高齢者は発熱だけの場合も」(岩切さん・以下同)

 夏に引き続き脱水症も要注意だ。寒さを感じやすいため、過度な暖房や厚着で気づかぬうちに体温が上がり、汗をかいてさらに脱水が進むことも。せん妄や脳梗塞、心筋梗塞の原因にもなるので、冬も日常的な水分補給を心掛けたい。

発熱すると受診できない!? 事前に問い合わせリストを

 高齢者が発熱した場合はやはり医師の診察が必要。しかしすでに多くの医療機関で体温による受付制限が始まっている。

 コロナ禍での受診・検診控えで持病が悪化している人も多く、医療機関では新型コロナ以外の病気を診察するため、発熱患者は別の診療時間枠を設ける、または一切診ない方針のところも、今後増えることが予想されるという。

「実際には、外出自粛を徹底している高齢者の新型コロナ感染リスクはかなり低いはずですが、発熱した時点では門前払いになる可能性が高くなります。普段受診しているかかりつけ医でも診てもらえないことがあります」

 一刻も早く診てもらうため、救急車という手も考えられるが、それは避けた方がいいと岩切さんは言う。

「救急病院に発熱患者さんが集中することは必至で、PCR検査を行う病院でもソーシャルディスタンスの確保も含めて新型コロナの疑いがある発熱患者さんはたくさん受け入れられません。救急車はすぐに診てくれる病院を探すことが決まりですから、なかなか搬送先が決まらないことが少なくありません。

 この冬は発熱した場合の医療機関、検査機関へのアクセス方法を確認しておくことがとても重要。事前にかかりつけ医が発熱を診てくれるかどうかを確認し、診てくれる場合の段取り、診ない場合は地域で受診可能な医療機関をしっかり聞いておきましょう。また今後、医療や検査体制は状況によって目まぐるしく変わると思います。親御さんの地域の自治体のホームページなどをまめにチェックしましょう」

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン