国内

「我輩は将軍ミシマスキー」三島由紀夫自決前年のソ連軍服姿

50年の間、封印されてきた三島由紀夫の写真を発掘(写真/共同通信社)

50年の間、封印されてきた三島由紀夫の写真を発掘(写真/共同通信社)

 昭和45年(1970年)11月25日、市ヶ谷自衛隊駐屯地で三島由紀夫が壮絶な自決を遂げてから50年の節目を迎えようとしている。関連書籍が次々刊行され、新聞・雑誌では回顧特集が組まれており、そのカリスマ性は色褪せることがない。そんな三島の、50年の間、封印されてきた写真が発掘された。

 晩年の三島は志を同じくする学生らを集め、「楯の会」を結成。学生運動の騒乱を鎮圧するため自衛隊が治安出動したら、それを契機にクーデターを起こすことを計画し、楯の会の会員は自衛隊で軍事訓練を受けていた。

 だが、その訓練の詳細が明らかにされることはほとんどないまま、自決から50年が過ぎた。その訓練中の写真が、ついに公開されたのである。

 写真は楯の会ナンバー2だった本多清氏が上梓した『三島由紀夫「最後の1400日」』(11月16日発売)に収録されている。刊行した毎日ワンズの松藤竹二郎社長が、発掘の経緯をこう語る。

「自決の前年にあたる昭和44年3月に御殿場にある陸上自衛隊の滝ヶ原駐屯地で、楯の会約50人の体験入隊が実施されたときに、その手配をした駐屯地司令が、三島さんの護衛に若い隊員をつけた。それが高橋富男さんという元自衛官で、三島さんの許しを得て、個人的に写真を撮っていたのです。

 三島さんが自決した後、自衛隊は楯の会への関与について野党やマスコミから叩かれたので、高橋さんは写真を出せなくなり、楯の会の会員とも一切、会わなくなっていた。しかし、今年の8月になって著者の本多さんの知人を通じて連絡がついた。本多さんと共にご自宅に伺ったときに、当時の写真を出してこられたんです」

 写真は丁寧にアルバムに収められ、大切に保管されていたという。おかげで状態が良く、写真はクリアで当時の息づかいまでも伝わってくるようだ。

 本多氏は何度か高橋氏の自宅に通い、写真の提供を依頼したという。

「誤解を招きかねない写真もあり、高橋さんはおかしな扱われ方をされるのを恐れていた。しかし、50年前に一緒に訓練をした本多さんが出す本なら、間違いないと思っていただけたようです」(前出・松藤氏)

 本多氏もこう言う。

「50年の節目で本を出そうとしたら、50年会えなかった人と偶然つながり、今まで存在しないと思っていた写真が出てきたことが不思議でなりません」

 まるで三島が引き合わせたかのようである。

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン