このような不都合があるのであれば、中途半端な「通称使用の拡大」ではなく、「えいや」と選択的夫婦別姓に移行するほうが理にかなっている。それでも保守派の一部の反対が強いのは、やはり変化に対する抵抗なのだろう。自分が当然としてきたことを変えられるのが嫌だという気持ち。田母神俊雄氏の感情的なツイートもそうだ。時代から自分が置いていかれるような気がして抗うのだ。
けれども時代は流れている。菅義偉首相はかつて選択的夫婦別姓を推進する立場で議員活動をした人物だ。さらに、先日、橋本聖子男女共同参画担当相が男女共同参画会議の選択的夫婦別姓制度に関する答申に「深刻な少子高齢化を食い止めるために、非常に重要で配慮すべき」と表明したり、保守派で知られる稲田朋美議員が選択的夫婦別姓に関連して結婚後も旧姓の使用を続けられる制度の新設を提案したり、といった動きもあった。
保守の側からも、変化をしようとしている。そう遠くなく、選択的夫婦別姓制度は法整備され、「なんであんなに反対する人がいたんだろう」と首を傾げる時代が来ると思う。