〈その5〉新潟県や北海道などでは納豆に砂糖をかける。新潟の人がほかの地域で、納豆を食べるときに「砂糖ください」と言う場合は、ある程度の覚悟が必要。ほかの地域の人が新潟に行って、納豆に砂糖をかけている光景を見てもけっして引いてはいけない。
〈その6〉中部地方では冷やし中華にマヨネーズがついてくるのは当たり前。西日本では天ぷらやカレーにソースをかけるのが常識。東日本ではトマトに砂糖をかけるのは珍しいことではない。うっかり「ウゲッ」という顔をしたら、高い確率でケンカになる。
〈その7〉関東で「ねこまんま」と言えば、ご飯に鰹節をのせて醤油をかけたもの。関西の「ねこまんま」は、ご飯に味噌汁をかけたもの。関東の人と関西の人とで「ねこまんま、おいしいよね」と話が弾んでも、たぶんそれぞれ別の食べ物を思い浮かべている。
もちろん「例外」や「個人差」は山ほどあるので、大らかな気持ちで受け止めてください。ほかにも、肉じゃがに入れる肉は豚か牛か、すき焼きはどう作るか、うどんのコシはどうあるべきか……などなど、食べ物の“常識”は地域によってさまざま。雑煮や味噌のことを言い出したら、話が際限なく広がって収集がつかなくなるでしょう。
大げさな言い方をすると、自分の常識を揺さぶられる状況に遭遇したときにこそ、人としての器の大きさが問われます。固定観念に縛られて「こんなのは邪道だ!」「俺は認めない!」と反発するか、それぞれの地域の文化に敬意を表しつつ違いを楽しむか。どちらの生き方を選ぶのも自由ですけど、違いを積極的に楽しんだほうが“お得”が多い気がします。いろんな食べ物や食習慣から、たくさんの栄養を摂取しましょう。