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東と西で異なる「ねこまんま」 食をめぐるローカルギャップ

たぬきそば(時事通信フォト)

東京でいうところのたぬきそば(時事通信フォト)

 思わぬ事態、には突然遭遇するものである。大人力について日々研究を重ねるコラムニスト・石原壮一郎氏が指摘した。

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 所変われば食べ物の呼び方も変わります。先日「たぬきそば」をめぐる衝撃のニュースが、ネット上で熱い注目を浴びました。法律をテーマに身近で役に立つ話題を提供している「弁護士ドットコム」が、11月26日に配信したのが〈大阪のそば屋で「たぬき」注文したら、東京人「“きつね”出された」 キャンセル可能?〉という記事。東京に生まれ育った青年が、大阪のそば屋で「たぬきそば」を注文したら、天かすがのったそばではなく、油揚げがのったそばが出てきました。東京と大阪とでは「たぬきそば」の意味が違うことから生まれた悲劇です。

「思っていた品と違う料理が出てきた場合はキャンセルできないのだろうか」というのが、記事のテーマ。弁護士の先生の見解としては、大阪のそば屋が「たぬきそば」と言われて油揚げがのったのを出すのは当然で、それを知らなかった客の側に重大な過失があるので、キャンセルすることはできないという結論でした。ま、そりゃそうですよね。

 ちなみに、関西で「きつね」と注文すると、油揚げがのった「きつねうどん」が出てきます。その麺がそばになったのが「たぬき」もしくは「たぬきそば」で、関西に「きつねそば」はありません。天かすがのったそばやうどんは「ハイカラ」と呼んでいる店が多いとか。ただし、関西の中でも地域差があったり、店ごとのルールがあったりもします。

 そばやうどんに限らず、食べ物のローカルギャップに驚かされるケースは少なくありません。知らない土地に行ったときに「そんなつもりじゃなかったのに……」と落胆することになったり、店の人や話している相手に「なに言ってんだ、こいつ」と白い目を向けられたりすることも。そんな悲劇を防ぐために、食べ物をめぐる「知っておきたい7つのローカルギャップ」を押さえておきましょう。

◆知っておきたい7つのローカルギャップ

〈その1〉九州では唐辛子のことを「コショウ」と呼ぶ。九州の人が別の地域のうどん屋さんに行ったときに、唐辛子がほしくて「コショウください」と言うと、独特の味覚の人だと思われる。ちなみに九州は、ラーメンにかけるペッパーも「コショウ」と呼ぶ。

〈その2〉関西で「ぜんざい」と言えば粒あんたっぷりの汁に餅が入ったものだが、関東で「ぜんざい」と注文すると汁気のない甘味が出てくる。関西で「おしるこ」といえばこしあんを使ったものだが、関東ではこしあんだったり粒あんだったりいろいろ。

〈その3〉関東で「桜餅」と言えば小麦粉を薄く伸ばした生地に餡を包んだものだが、関西の「桜餅」は道明寺粉を蒸して餡を包んで丸くしたもの。誰かに「桜餅買ってきて」と頼んで、開けてみたらイメージと違ったからと言って、あわてて怒ってはいけない。

〈その4〉カツを甘辛く煮て卵でとじたものだけが「カツ丼」だと思ったら大間違い。群馬、長野、福井などの一部では「カツ丼」と言えば、ソースにくぐらせたカツをご飯に載せたソースカツ丼のこと。新潟などには、カツを醤油にくぐらせたカツ丼もある。

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