ただし治験は続行中で副作用も未知数と課題も残る。抗体医薬は製造コストが高額な点も普及においてネックになる。
トランプ氏の治療では「1000万円以上かかった」との報道もあり、日本に導入されても1回の治療あたり数百万円がかかると言われる。日本の患者がいますぐ抗体医薬を投与できるかといえば、疑問符がつくだろう。
それでも、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう期待を寄せる。
「現在、武田薬品工業は抗体医薬の一種である『免疫グロブリン製剤』の開発を進めており、10月からは国内外で最終の臨床試験を始めています。高額で大量生産もしにくい抗体医薬ですが、世界中の製薬会社が新薬の開発を行ない、世界中の医療関係者がその効果に期待していることは間違いない。武田薬品も、治験の結果次第では日本政府が費用を補填し、まずは重症化リスクの高い高齢者や持病のある人に優先的に投与される可能性はあると思います」
※週刊ポスト2020年12月18日号