セレブでクール、スタイリッシュなエグゼクティブの浅羽と、ぼさぼさのロンゲでボロアパートに住む人たらしのゴン。見た目も雰囲気も、性格も対照的な2人を演じきっているのだ、すぐに気付かないのも仕方ない、と自己弁護してみるが、カメレオン俳優と呼ばれる役者は他に何人もいる。彼らが違う役を演じてもすぐに分かるが、なぜ彼は気付かなかったのか。

 その理由はおそらく声の印象の違いだ。心理学では「感情音声」として、さまざまな感情を含むことで声質が変化することが分かっている。例えば、「怒り」の感情の時は強く凄みがある声質になり、「喜び」では明るく高い声質になるという。悲しみや怖れなど、訓練していなければ表現するのが難しい感情もあるという実験結果も出ている。

 多くの俳優は、役によってアクセントや抑揚を付け、話し方や言い方を変えるが、声は同じであることが多い。声の印象まで変える役者はそう多くないが、中村さんが演じたゴンと浅羽では声の印象が違っているのだ。中村さんは、色気と艶のある地声をしている。浅羽という役では、その声に口には出さない感情の起伏が表れ、よく響く張りのある“動的”な声に聞こえる。ゴンの声は、色気はあるがふんわりしていて低く穏やかで、湿っていながらも感情がこもらない“静的”な声だ。役によって音声感情を使い分けていたため、声の印象が変わったのではないだろうか。

 よくよく聞けば、どちらも中村さんの声なのだが、それでも最初に耳に届いた時の第一印象は違って聞こえた。それも彼がカメレオン俳優と呼ばれる所以なのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
大の里の調子がイマイチ上がってこない(時事通信フォト)
《史上最速綱取りに挑む大関・大の里》序盤の難敵は“同じミレニアム世代”の叩き上げ3世力士・王鵬「大の里へのライバル心は半端ではない」の声
週刊ポスト
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎ストーカー殺人事件》「テーブルに10万円置いていきます」白井秀征容疑者を育んだ“いびつな親子関係”と目撃された“異様な執着心”「バイト先の男性客にもヤキモチ」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《田中圭との不倫疑惑》永野芽郁のCMが「JCB」公式サイトから姿を消した! スポンサーが懸念する“信頼性への影響”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
食物繊維を生かし、健全な腸内環境を保つためには、“とある菌”の存在が必要不可欠であることが明らかになった──
アボカド、ゴボウ、キウイと「◯◯」 “腸活博士”に話を聞いた記者がどっさり買い込んだ理由は…?《食物繊維摂取基準が上がった深いワケ》
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン