国内

千葉県北西部の飲食店が「東京との格差」に愕然とする事情

記者会見で、千葉県内の一部地域の飲食店に午後10時以降の酒類提供自粛を要請する森田健作・同県知事(時事通信フォト)

記者会見で、千葉県内の一部地域の飲食店に午後10時以降の酒類提供自粛を要請する森田健作・同県知事(時事通信フォト)

 東京とその近郊の距離は、地図や路線図でみるよりもずっと密接な関係だ。千葉都民という言葉があるように、千葉県北西部からは東京への移動が便利なため千葉県に住みながら東京都へ通勤通学する人の割合が多いことでも知られているが、実は都内からこの千葉方面への移動も多く、お互いに行き来が頻繁で生活圏がかなり重なっている。ふだんは生活圏が重なっているけれど行政区分が別であることに、それほど不便を感じていなかったが、新型コロナウイルスによって理不尽さに不満がたまっている。ライターの森鷹久氏が、もっとも影響を受けている飲食店が追い込まれている窮状についてレポートする。

 * * *
 12月上旬、夜10時過ぎの千葉・船橋市の居酒屋は、多くの客で賑わっていた。都内に通勤しているという近所在住の男性常連客(40代)が、顔を赤らめながらいう。

「知事は次の選挙、出ないんだよ。だから、県民のことなんてどうでもいいの。地元の居酒屋が困ってるのに、県は何もやってくれないどころか、ほとんど見せしめ……いや見殺し。そのせいで、全然関係のない他県のやつから苦情の電話まで店にかかってきているんだから。だから我々客がしっかりサポートしてあげないと」(常連客)

 千葉県の森田健作知事は12月1日、ここ船橋市や柏市、市川市など千葉県北西部11市の飲食店を対象に、夜10時以降の酒類提供の制限を「要請」した。11市については、人口10万人あたりの感染者数が、国が定めた指標レベル4段階のうち、上から2番目に深刻な「ステージ3」の指標である15人に近い「13人」を超えたことが理由であると説明。一番の人口を誇る県都・千葉市は「5.8人」にとどまるとして要請を見送った。

 ところが、この要請はあくまでも「お願い」であり、営業時間の短縮は要請しないため協力金などの見返りはないと発表。飲食店関係者はさらに激しく反発している。

「しっかり協力している店なんかゼロ。コロナに感染したくないし、お客さんを危険な目にもあわせたくない。だから、本音は休みたい。でも、休んだら生活ができないし、食べていけない。コロナにかかる前に死んじゃうんですよ。4月から5月、6月にかけての時短営業要請や休業要請は、貰える金額が最低限でも、うち含めほとんどの店が守りました。今回はそれもない。黙って死ねというのか」(船橋市の居酒屋店主)

 船橋市の北に位置する松戸市も「要請」の対象であるが、やはり協力金がないなら営業を続けるしかないという飲食店が多数存在する。市内の飲食店店員は、JR常磐線で松戸から一駅隣、東京都葛飾区にある金町駅付近の飲食店がしっかり「要請」に応えているとことに、ため息を漏らす。

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン