スポーツ

武豊騎手が未勝利の朝日杯FS 社台グループ集大成の血に期待

阪神競馬場

阪神競馬場のパドック

 一番人気が強かった秋のGIだが、ここは傑出馬不在の混戦模様である。競馬ライターの東田和美氏が朝日杯フューチュリティステークス考察した。

 * * *
 2歳の暮れにこのレースを使って、翌年のクラシックを制覇した馬は2000年以降の20年間では3頭。2000mの中山競馬場のホープフルSがGⅡ(その後GⅠ)になり、朝日杯の舞台が阪神競馬場に替わった2014年以降は、2018年に3着だったグランアレグリアが桜花賞馬になったものの、牡馬は1頭もいない。だが、その後マイル以下のGⅠを勝ったのは、グランアレグリアを含めて8頭もいる。

 一方、ホープフルSからは2014年以降だけでも3頭のクラシックホースが出ている。2016年の皐月賞馬ディーマジェスティもこのレースを選んだが、馬番確定後に出走を取り消している。阪神で行なわれていたGⅢのラジオNIKKE杯時代から合わせれば、過去20年で13頭のクラシックホースが出ている。

 かつて2歳牡馬(セン馬)GⅠが朝日杯しかなかった時代、2歳トップクラスの馬でも、ここでの結果を見て来春の構想を立てていたが、いまやこのレースを前にした時点で選択を迫られている。勝ち上がった有力馬が多い厩舎や、牧場サイドが主導権を握っている場合は、「使い分け」も考えられるが、いずれにしろクラシック戦線に突入したということだ。1週間後のホープフルS登録馬と臨戦過程などを見比べて検討するのもいいだろう。

 距離適性については藤沢和雄調教師が著書『GⅠの勝ち方』(小学館)でこう述べている。《使ってみないとなかなかわからないところがある。競馬に使ってみて初めて、やっぱりマイルより長い距離は難しいかもしれないとか、逆に短い距離ではスピードが足りないとか判断できることが多い》。2014年以降の勝者のうちリオンディーズは2000m、サトノアレス、ダノンプレミアムは1800mでのデビュー勝ち。しかし2000mのホープフルSではなく、こちらに照準を合わせて結果を出した。

 さらに2000年以降の勝ち馬でも、半数以上の11頭が1800m以上の距離経験があり、うち8頭は勝っている。もちろんGⅠということはあっただろうが、適性を見極めていたのだろう。G1 レースとなるとタイムも大幅に短縮するが、そんなときマイルより長い距離を経験していることがプラスになったとはいえないか。なおダートを含む1400m以下でデビューした馬も、このレースまでに1600m以上を経験している。GⅠでいきなりの距離延長は厳しいのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン