うちだって春節サマサマです
2021年の春節の祝日は2月11日から2月17日と中国国務院弁公庁(中央政府)は11月25日に発表した。なるほど1月末ではこの春節にGoToトラベルを活用できない。中国人の渡航費はGoToトラベルを使えないが、国内を移動する分には可能である。これを見越して日本政府は11月の日中外相会談で中国人の短期滞在と長期滞在双方の往来を再開させることで合意している。現状はビジネス関係者などを対象としているが、今年7月以降の緩和が急ピッチで進展していることを鑑みれば、春節までにはさらに入国基準が緩やかになるだろう。この緩和措置ですでに6万人の外国人が入国している。ベトナム人が約2万人と中国人が約1万人で共産主義国家のワンツーフィニッシュ。日本人は自粛のはずがおかしな話、政府はブレーキとアクセルを同時に踏んでいる状態だ。
「中国は先月ビジネストラックに格上げされましたからね、そもそも頭が上がらないのと二階さんが中国と親しいのもあるんでしょうけど、やっぱ春節頼みでしょう、あとベトナムも加えて商談と労働力頼み」
ビジネストラックの詳しい話は省くが日本国内での行動制限が緩和されるスキームだ。レジデンストラックというのもあってこちらは留学や家族の在留資格も対象となる。台湾やニュージーランドなどコロナ対策に成功したとされる国は以前から対象だったが、これに中国が加わった。新型コロナウイルス輸出の張本人が、とは言い過ぎだろうか。
「うちだって春節サマサマです。金の払いっぷりは日本人と全然違いますからね、観光産業にとって金払いのいい14億人が近くにいるのは本当に大きいんです」
どの日本企業も中国頼みは一緒だろう。航空会社などしたたかで、全日本空輸(ANA)は12月14日に国内の航空会社では初の成田-深セン便を就航させている。中国の日系工場の生産体制もほぼ回復しつつある。コロナで死ぬより経済で死ぬほうが怖いと、みな生きるのに必死だ。
「でも今年を振り返ると、やっぱり春節がまずかったのかもしれないと思うこともあります……あのときもっと早く封鎖してたら、入国を厳しくしてたら、とか……たらればですけど、しょぼい旅行代理店のおっさんが考えたってなんともならん話です」