芸能

紅白「加山雄三・仮面ライダー事件」ジャニー氏の意外な言葉

紅白の裏も表も知る堀尾正明さん(右)、田中稲さん、合田道人(左)さんが語りつくす

紅白の裏も表も知る堀尾正明さん(右)、合田道人(左)さんが語りつくす

 前代未聞の無観客開催となる今年の『NHK紅白歌合戦』では、いったいどんなステージが見られるのか。そんな紅白をよりいっそう楽しむために、紅白での司会経験もある元NHKアナウンサーの堀尾正明さん、紅白ウオッチャーで昭和歌謡ライターの田中稲さん、紅白歌合戦研究家で作家・音楽プロデューサーの合田道人さんの3人が集結。紅白の“司会”について語り合った。

──紅白の司会は相当なプレッシャーがかかるものですか?

堀尾:昔の司会はわりと余裕があって「大体5分くらいでしゃべってください」みたいな感じでしたが、いまは「1分33秒でピシッとやってください」と余裕がない。アドリブを入れると時間がオーバーする可能性が高いんです。

 ぼくの総合司会のときは、たくさんしゃべることがあったので「お前が1秒ずつオーバーしたら、1秒×出場歌手54組で、54秒遅れることになり、1コーラス分の歌をカットすることになるんだぞ」みたいな強迫観念は常にありました。実際、しゃべり始めると同時に“巻き”が入るんです、後半になると。それくらいきつきつの中で時間管理するのが紅白の司会です。

田中:アナウンサーから見て歴代の司会者でうまいなと思った人は誰ですか?

堀尾:女優さんの場合は大体カンペが出て、それに従って話すことが多いんです。ただ、それを感じさせずにアドリブを自然に入れる人もいますが……佐良直美さんや水前寺清子さんが上手でした。中居正広さんもうまいですね。

──逆に司会者の失敗による事件はありました?

堀尾:紅白で司会者がトチると大ニュースになって語り継がれ、時には人生を変えることもあるんです。たとえば、第35回(1984年)は都はるみさんが「普通のおばさんに戻りたい」と紅白を最後に引退する予定でした。はるみさんの歌が終わると、観客から前代未聞のアンコールがかかり、白組司会の鈴木健二アナが、はるみさんに歌ってもらおうとして、「私に1分間ください」と言ったのですが、その言葉は一躍有名になりました。

 そのやりとりを見て「ああ、これで美空ひばりさんに並んだな、都はるみさん」という思いが頭をよぎったのが総合司会のベテランアナ。アンコールが終わり、拍手が鳴り止まぬ中「もっともっとたくさんの拍手をミソラ……」と、つい口走ってしまったんです。これをきっかけに昇進ながら大阪転勤となり、翌年退職。紅白がアナウンサー人生を大きく変えた一例といえます。

 これとは別に、第37回(1986年)で白組の司会を務めた加山雄三さんが、初出場で白組トップバッターだった少年隊の『仮面舞踏会』の紹介のときに『仮面ライダー!』とノリノリで間違えたのも語り草です。あまりに堂々としたトチリで、その後、出てきたバックダンサーの衣装がショッカー風だったこともあり、「あれ、わざと?」って、演出と間違われたくらい(笑い)。

合田:それね、「間違っちゃ困るよね」って事前打ち合わせで話していたんだって。「一曲目だから、間違えられないよな」って。なのに、やっちゃった(笑い)。後日談で少年隊にジャニー喜多川さんが「ユーたちラッキー。これで覚えてもらって」と話したとか。大らかですよね。

【プロフィール】
堀尾正明(ほりお・まさあき)/1955年生まれ、65才。埼玉県出身。1981年にNHK入局。2008年にNHK退職後はフリーアナウンサーとして『誰だって波瀾爆笑』(日本テレビ系)などで活躍。

田中稲(たなか・いね)/1969年生まれ、51才。大阪府出身。大阪を拠点に昭和歌謡や懐かしブームなどのライターで紅白ウオッチャー。CREA WEBにて『田中稲の勝手に再ブーム』連載中。

合田道人(ごうだ・みちと)/1961年生まれ、59才。北海道出身。歌手・作家・構成作家で、日本歌手協会理事長。紅白歌合戦研究家で『紅白歌合戦ウラ話』(全音楽譜出版社)など著書多数。

取材・文/北武司 撮影/浅野剛

※女性セブン2021年1月7・14日号

左から合田さん、田中さん、堀尾さん

左から合田さん、田中さん(PC画面)、堀尾さん

関連キーワード

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン