1991年に発売された樋口可南子の写真集『water fruit』で事実上の“解禁”となり、宮沢りえが社会に普及させたと言われるヘアヌード写真集。その登場から30年を迎える。数多の大物女優たちがカメラの前で裸体を晒し、大衆やメディアはそのたびに狂喜乱舞し、写真集は飛ぶように売れた。まさに日本社会を動かし、形づくってきた衝撃の問題作を、時代とともに振り返る。
●菅野美穂『NUDITY』(撮影/宮澤正明、ルー出版、1997年)
幼い顔つきの清純派女優が20歳の誕生日にヘアヌード写真集を出し、世間を驚かせた。高校生がお金を出し合って購入し、菅野主演のドラマに感動していた父親が家族に内緒で買っていたなどエピソードが多数残る。
プライベート感のある写真が多いことから「カメラマンと恋愛関係にあるのでは」「所属事務所から強要されたのでは」との憶測も流れた。発売3日後の記者会見では菅野自らそれらを否定し、自分の意思で20歳の記念に出したと語ったが、周囲の反応を聞かれると5分間号泣するなど、高ぶる気持ちを隠せなかった。
●島田陽子『KirRoyal』(撮影/遠藤正、竹書房、1992年)
ヘアヌードがブームになると、松尾嘉代、西川峰子ら40歳前後以上の熟女も次々と市場に参入。そのなかで図抜けて多い55万部の売れ行きを記録したのが島田陽子39歳のときのこの写真集だ。
はだけた赤襦袢から覗くヘアが艶めかしい。「大ヒットしたアメリカのテレビドラマ『将軍 SHOGUN』に主演し、“国際派女優”と呼ばれていたので、ギャラも話題になりました」(芸能ジャーナリスト・二田一比古氏)。写真家の加納典明氏が「ババアのヌード」とくさすと、元恋人の内田裕也が「会ったら殴る」と激怒する一幕もあった。