国内

福岡県でコロナ感染者リスト漏洩 個人情報が流出した元感染者の憤り

国及び地方公共団体のデジタル化を進めるためのデジタル改革関連法案ワーキンググループであいさつする平井卓也デジタル改革担当相(右)(時事通信フォト)

国及び地方公共団体のデジタル化を進めるためのデジタル改革関連法案ワーキンググループであいさつする平井卓也デジタル改革担当相(右)(時事通信フォト)

 1月5日、福岡市は行政サービスのデジタル化を進めるための「DX(デジタルトランスフォーメーション)デザイナー」に、ネット掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」創設者の西村博之氏や内閣官房IT総合戦略室の東宏一氏ら4名に委嘱したと発表した。ところがその翌日、福岡県が管理していた新型コロナウイルス感染者の情報がネット上に漏洩していると判明し報じられた。ライターの宮添優氏が、どんな形で情報が漏洩してしまったのか、漏らされた当事者の戸惑いとともにレポートする。

 * * *
 福岡県が管理していた県内の新型コロナウイルス感染者に関する情報が、一ヶ月以上にわたり、ネット上に公開されていたことが判明。当初は「事実確認中」としていた福岡県側も、テレビニュースなどで報じられると、事実関係を認め謝罪した。「データは消した」と苦しい弁明に追われている。自治体が管理するコロナ関連のデータ漏洩といえば、昨年5月には愛知県が、感染者の氏名など500人弱の個人情報を、新型コロナウイルス感染症関連のウェブサイト上に誤って掲載し、やはり謝罪に追い込まれている。

 こうした不祥事が続けば、官公庁でもDX(デジタルトランスフォーメーション)化が推し進められているのにこのザマか、とため息が聞こえてきそうだが、福岡の「情報流出」はそれで終わる話ではない。騒動を取材した全国紙記者が打ち明ける。

「福岡県の担当者が作成した『Googleドキュメント』上にまとめていた感染者リストのURL(リンク)が、間違って無関係の一般人に送られたことがきっかけで明るみに出たようです。愛知県の流出騒ぎでは、漏洩したのは500人弱の名前などの情報でしたが、今回は住所付きの情報もあり、それが数千件、いやもっと多い可能性もあります。というのも、外部からアクセス可能な状態になっていたのは複数のファイルで、中には作りかけと思われるファイルもありました。少なくとも、福岡県全域で感染者9千数百名以上の個人情報が掲載されているのです」(全国紙記者)

 Gmailをはじめとした、無料で利用できるGoogleサービスのひとつに「Googleドキュメント」がある。Googleドキュメントでは文書作成や表計算ソフトなどの機能が提供されており、ファイルを作ってネット上に保存もできる。ネットに繋がりさえすれば誰でも利用が可能なので、ファイルの共有にもよく使われているのは事実だ。ただ、機密データを無料サービスを利用して共有するのは、褒められた業務姿勢ではないだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン