新型コロナ感染症によるマスク生活を強いられた世界。比較的マスクを抵抗なく受け入れた日本人に対して、欧米ではマスクに対する強い抵抗感がありなかなか普及しなかった。番組ではその理由を分析していました。
「目は口ほどに物を言う」。よく知られたことわざですが日本人は「目から感情を読み取る」傾向性が特に強い。だからマスクで顔の下半分を隠しても、コミュニケーションにさほど支障が無い。端的に示しているのが顔文字。日本の顔文字はたしかに、「目」の部分が変化していきます。
対して、アメリカの顔文字を見てみると、目はいつも点で示され、口のパーツをいろいろと変化させて表情を表現する。だから、マスクで口元を隠すことに抵抗がある……といった分析を総合して、「日本人が目で感情を表しコミュニケーションする」傾向を指摘していました。
もしも、本当に日本人が目で多くの意味を伝えあい受け取っているとすれば……?
「両方の目をサングラスによってシェードし、しかも片目は義眼」である風間教官の姿を改めて思い出したい。まさに「キムタク」の特徴を伝え表現する2つの目を封印。目を隠すことによって、別の存在を出現させた。CMで「やっちゃえ」とおどける「キムタク」が消えただけでなく、風間という人間がどんな人なのかを読み込もうとしても、目が隠されているがためになかなか読み取れない不気味さ。
もちろん第一弾の『教場』(2020年1月)は、コロナ禍に突入する少し前に生まれたドラマではありますが、今まさにコロナ危機の下で、敢えて異様で不気味な風間教場の第二弾を世に放ったことは注目に値するでしょう。癒やしのドラマが多い中で、眼光を失わせる仕掛けは異彩を放ち演技派・木村拓哉の存在を際立たせた。そしてこの時代に改めて、「目を使うコミュニケーション」の深い意味を再認識させた。
他の俳優では醸し出すことのできない独自の世界に、視聴者は「目が離せなくなった」。後編の最後のシーンでいよいよ風間の義眼の秘密が解き明かされたのも、さらに続く物語から「目を離すな」というサインでしょう。