奈々福や清水の芸のように“ピン”で輝くのではなく脇で渋く光る、それもエンターテイメント。NHK連続テレビ小説『おちょやん』のモデルとなった女優の唯一の著者にしてたったひとつの自伝、浪花千栄子『水のように』(朝日新聞出版)が出た。我々世代にとっては“松竹新喜劇”や映画『悪名』が印象的。これを読んで、あの時代の芸の世界にひたってみては……。
関西に対して関東はと言えば、20年の8月に亡くなった内海桂子の『人生は七転び八起き』(飛鳥新社)。波瀾万丈の98年間があの調子で語られていく。
玉川奈々福、清水ミチコ、浪花千栄子、内海桂子と圧巻の女流芸人がつづいたので最後は男芸人、それも最若手。日芸落研という私の後輩が4年前やって来て「コネでウラから爆笑問題の事務所に入れて欲しい」と言う。太田光が即OKしてくれて漫才師“まんじゅう大帝国”となりこの度私が序文を書かされ『笑いの学校』(河出書房新社)出版。順に講義をするは爆問、神田伯山、ナイツ塙、春風亭昇太ほか。すべてコネで出てもらった。
イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2021年1月15・22日号