名鹿氏は、そんな綾瀬の魅力について次のように続ける。
「女優としては『八重の桜』以後も数々の作品に出演され、場数をこなしてきた綾瀬さんは、年齢を重ね、人生経験も積み、いろんな製作者や共演者との仕事を通じて、様々なものを吸収してきたのでしょう。
演技面でも深みが増し、演じる役の幅も年々広がってきているように感じます。人から愛される、人から注目される資質は昔からずば抜けていましたが、それに甘んじず、頑張って来られた結果が今の綾瀬さんなのだと思います」
最初に女優としてテレビドラマに出演してから、早くも20年が経過した。その間、様々な新しい若手女優も登場してきている。だが綾瀬の地位は揺るがないだろうと、名鹿氏は語る。
「近年は有望な若手女優がたくさん台頭してきていますが、誰が出てきたからといって、綾瀬さんの人気やポジションが今後誰かに奪われてしまうといったこともないと思います。単純に役をこなすだけでなく、経験や人柄からくる所作の美しさ、綾瀬さんにしかない立ち居振る舞いの良さといった、他の若手女優にはない魅力がたくさんあるからです。
また、幅広い年齢層から支持されるその好感度の高さも綾瀬さんの大きな武器になると思います。数々の代表作にも恵まれていますが、これからも大きな舞台で活躍し、代表作を増やしていくのではと思います」
今年3月には主演映画『奥様は、取り扱い注意』も公開される。本来であれば昨年6月に公開が予定されていたものの、コロナ禍の煽りを受けて延期となっていた作品だ。深みを増した綾瀬はるかの魅力は、今後もますます磨かれ続けることになるに違いない。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)