芸能

THE FIRST TAKEと「紅白の変化」 歌に真摯に向き合う時代へ

(THE FIRST TAKEオフィシャルサイトより)

昨年の紅白との共通点とは?(THE FIRST TAKEオフィシャルサイトより)

 かつては音楽番組から次々とヒット曲や人気アーティストが誕生したものだが、いまや民放ゴールデンタイムから音楽番組が消えて久しい。レギュラー放送されているのは、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)だけというのが現状だ。そんな中、YouTubeチャンネルTHE FIRST TAKEが、往年の「音楽番組」の役割を果たしてくれている。

 同チャンネルでは、マイクが1本だけ置かれた白いスタジオで、アーティストが一発撮りのパフォーマンスに挑んだ映像が配信されている。チャンネル登録者数は317万人を誇り(※2021年1月8日時点。以下同)、LiSA がアニメ『鬼滅の刃』のオープニングテーマ『紅蓮華』をピアノアレンジで初披露した映像は、実に9400万再生を超えている。押しも押されもせぬ人気チャンネルと言えよう。

 THE FIRST TAKEが生んだ大ヒット曲が、ダンスロックバンド・DISH//(ディッシュ)の『猫』だ。もともと同楽曲は、2017年8月にリリースされた10枚目シングル『僕たちがやりました』のカップリング曲だった。2020年3月、THE FIRST TAKEにて、ボーカル・北村匠海が歌う「猫 〜THE FIRST TAKE Ver.〜」が公開されたところ、一気に人気に火が付き、オリジナルバージョンの『猫』と合算した配信総再生回数は1億回を突破した。同年11月から、テレビ東京にて『猫』を原案とした深夜ドラマが放送されるまでに至った。

 さらに同年12月25日に公開された、太田裕美の代表曲『木綿のハンカチーフ』を女優・橋本愛がカバーした映像も話題に。ネット上を中心に「泣ける」という称賛の声が続出し、投稿から2週間足らずで168万再生を達成した。

 音楽ジャーナリストの柴那典氏は、THE FIRST TAKEの魅力をこう分析する。

「白いスタジオでの撮影、シンプルな画面構成で『音楽の魅力をストレートに伝える』というコンセプトが明確に伝わるデザインにあると思います。一発撮りというルールを徹底していること、歌唱前の何気ない一言や息づかい、視線の動きや表情までを高画質な映像と音声で収録していることで、ライブ感あふれるコンテンツになっていることが魅力になっています。

 また、基本的に毎週金曜日の22時に動画がプレミア公開されることも大きいと思います。チャンネル登録すれば定期的に新しい動画の通知がくる。時間とフォーマットが決まっていることで、『次は誰が登場するんだろう』という興味も湧く。テレビはどうしても視聴率優先のため、すでに人気がある人が中心になってしまいますが、THE FIRST TAKEは、新人が注目を集めるきっかけにもなっています。今までありそうでなかった『YouTube上の音楽番組』としてブランドを確立していると思います」

関連キーワード

関連記事

トピックス

三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
訃報が報じられた日テレの菅谷大介アナウンサー
「同僚の体調を気にしてシフトを組んでいた…」日テレ・菅谷大介アナが急死、直近で会話した局関係者が語る仲間への優しい”気遣い”
NEWSポストセブン
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン