そのデリケートな問題に、菅義偉・首相の不用意な発言が直撃した。菅氏は1月3日、ニッポン放送の番組に出演し、将来の皇室のあり方について、「まず男系継承を最優先にしていくべき」と発言した。コロナ対応の不手際で支持率が下がり続けたタイミングだけに、おそらく安倍前政権時代から支持層の中心だった保守派の歓心を買いたいという下心があったのだろうが、その魂胆は見透かされてしまった。
「これまで菅総理は皇室についてほとんど語ってきませんでした。昨年の所信表明でも何も言わなかったし、今年の年頭所感でも皇室への言葉はありません。男系継承を最優先にするというのは政府の方針だから正論を言っただけではありますが、ずっとコロナやオリンピック優先で皇室に触れなかったのに、なぜ今そのようなことを突然言い出すのか、疑問を感じました」(宮内庁関係者)
菅氏の言葉を文字通りに解釈すれば、天皇を継ぐのは秋篠宮皇嗣、悠仁親王ということになる。天皇家の一人娘である愛子内親王は今年20歳になるが、もし結婚すれば、ただちに皇室を離れなければならない。
「総理の言葉を聞けば、天皇ご一家は不安が募るばかりではないでしょうか。政府が将来の皇室をどう考えているかわからず、女性宮家問題も全く動きがない。まるで女性天皇への道が断たれたようにも聞こえる話をされて、雅子皇后も愛子さまの将来について悩まれているのではないか。最近ご体調がよくないというのも、成人される愛子さまの今後を案じておられることが関係しているのではないでしょうか」(同前)
国会では官僚が書いたペーパーを棒読みするだけの菅首相だが、自分の言葉で話し出すとすぐに炎上する。秋篠宮家に一筋の光明が差す一方で、棚上げされている女性宮家問題のタイムリミットはどんどん迫っている。