スマホゲームの脅威はコロナで一変
では、スイッチに死角はないのだろうか? ここ10年ほど家庭用ゲーム専用機は消滅するというメディアの報道を受け続けていた。それはスマホゲームの普及が進んだことが背景にあったからだ。
最初は携帯電話のブラウザゲーム、次いでスマートフォンのネイティブアプリであった。この2つの特徴は、常時接続でガチャがビジネスモデルの根幹をなしている点である。携帯電話系のゲームの優れている点は、通勤時間など隙間時間にガチャを引くことで楽しく遊べる。
現代人はどんどん忙しくなっているので、わずかな時間で楽しめる携帯電話やスマホのゲームは2010年代の生活スタイルと大変相性が良かったのである。
だが、2017年のスイッチのヒット、2020年の新型コロナで状況は一変したと言っていいだろう。スマホゲーム専業メーカーの業績は巣ごもりの恩恵が少ない一方、ゲーム専用機は先ほども述べたように絶好調である。
グーグルやアマゾンが展開「クラウドゲーム」の盲点
ところが、ゲーム専用機はこのような状況下でも、なくなると依然として言われているのである。それはグーグルやアマゾン、マイクロソフトなどの巨大IT企業が展開しているクラウドゲームの脅威も理由に挙げられている。
クラウドゲームは簡単に説明するとサーバー側にゲームを格納し、ユーザーはハードウェアの投資なしでゲームを楽しめるというものである。グーグルが始めるクラウドゲームのステイディアは、PSやスイッチが陳腐化する懸念材料として、株式市場でも大きな話題になった。
そして、クラウドゲームは2019年秋にサービスが始まったのだが、好調に推移しているといった発表はさっぱりない。
技術的な話になるので詳細は省略するが、現行のクラウドゲームは、ラグ(遅延)があり現実的に遊べないが、低遅延の5Gが普及すればすべて解決すると言われている。メディアが依然としてクラウドゲームのブームを予測しているのは、そうした見立てもあってのことだろう。