芸能

『麒麟がくる』、「伝説的場面」描かないことで視聴者の想像力を刺激

番組公式HPより

最終回終了後も話題の『麒麟がくる』(番組公式HPより)

 最終回の平均世帯視聴率18.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、有終の美を飾ったNHK大河ドラマ『麒麟がくる』。「多くの余韻を残した」という同ドラマについて、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが振り返る。

 * * *
 これまで主要人物の「ナレ死」はあったが、まさかの主役の「後日談死」!? しかも、三年後!と思ったら、ひょっとして死んでない!?ということで騒然となった『麒麟がくる』最終回。23日には、帰蝶(川口春奈)の語りで4部構成の総集編の放送が決定している。

 光秀は生き延びて、108歳で亡くなるまで徳川幕府で家康・秀忠・家光三代の補佐をした天海僧正になったという伝説がある。「麒麟」でも光秀と家康は若いころからの知り合いで信頼し合う仲。最終回でも光秀は徳川方の忍び菊丸(岡村隆史)に家康への手紙を託している。最終回後、長谷川博己は「光秀は生き延びたんだと信じたい」「このあとどうやって光秀は江戸幕府をつくったのか」と語った。ドラマではアリの設定である。

 振り返ってみると、「麒麟」は、最後の最後までいろいろな余韻を残した。一番の特長は、光秀が天下をとりたいとか、信長が憎いとか、私欲や感情ではなく、「大きな国」「平らかな世」といった手で触れることのできない理想を追い求めていたこと。想像上の生き物で手で触れられない「麒麟」は、それを象徴していた。

 これまで戦国ドラマで伝説的に語られてきた場面をあえてはずしたことも大きな特長だ。たとえば、松永久秀(吉田鋼太郎)の最期は、天下の名物「平蜘蛛」を抱え、日本史上初めて「爆死」したと描かれることも多いが、このドラマでは炎上して完結。そもそも松永は下剋上の悪人とする作品も多い中、きまじめな光秀に世の中の表と裏を教える不良上司のように描いたことは面白かった。

 また、「母の磔シーン」もなし。信長の命令で丹波攻めに苦闘した光秀により、人質に出された光秀の母は、信長の攻撃のために磔にされたといわれる。これは後年の伝承らしいが、丹波には「はりつけの松」の跡地があるという。その瞬間、母は怨みを込めて絶叫したか、それとも菩薩のような微笑みで運命を受け入れたか。「麒麟」で母を演じたのは石川さゆり。石川といえば、『天城越え』『飢餓海峡』など鬼気迫る熱唱で知られる。勝手に磔シーンを想像していたが、それはなかった。

関連記事

トピックス

驚異の粘り腰を見せている石破茂・首相(時事通信フォト)
石破茂・首相、支持率回復を奇貨に土壇場で驚異の粘り腰 「森山裕幹事長を代理に降格、後任に小泉進次郎氏抜擢」の秘策で反石破派を押さえ込みに
週刊ポスト
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
2020年、阪神の新人入団発表会
阪神の快進撃支える「2020年の神ドラフト」のメンバーたち コロナ禍で情報が少ないなかでの指名戦略が奏功 矢野燿大監督のもとで獲得した選手が主力に固まる
NEWSポストセブン
ブログ上の内容がたびたび炎上する黒沢が真意を語った
「月に50万円は簡単」発言で大炎上の黒沢年雄(81)、批判意見に大反論「時代のせいにしてる人は、何をやってもダメ!」「若いうちはパワーがあるんだから」当時の「ヤバすぎる働き方」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
“トリプルボギー不倫”が報じられた栗永遼キャディーの妻・浅井咲希(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》女子プロ2人が被害妻から“敵前逃亡”、唯一出場した川崎春花が「逃げられなかったワケ」
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“1000人以上の男性と寝た”金髪美女インフルエンサー(26)が若い女性たちの憧れの的に…「私も同じことがしたい」チャレンジ企画の模倣に女性起業家が警鐘
NEWSポストセブン
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《眞子さんが見せた“ママの顔”》お出かけスリーショットで夫・小室圭さんが着用したTシャツに込められた「我が子への想い」
NEWSポストセブン