国内

「無報酬」と胸張った森喜朗氏 五輪納入業者などから年6000万円献金

五輪組織委の仕事は「無報酬」のはずだったが…(時事通信フォト)

五輪組織委の仕事は「無報酬」のはずだったが…(時事通信フォト)

 女性蔑視発言をきっかけに、五輪・パラリンピック組織委員会会長を辞任することとなった森喜朗氏。森氏は自著『遺書 東京五輪への覚悟』(2017年 幻冬舎刊)に、組織委の仕事は「無報酬」であることを誇らしげに記していた。

〈(ロンドン五輪組織委のセバスチャン・コー会長は)年間六千万円だか八千万円だかを貰っていたそうです。それに引き換え日本の組織委員会会長は、一円も貰っていないどころか、飯代も自分、車代も自分、運転手も自分で雇っています〉

 だが、その“ボランティア精神”は本当なのだろうか。森氏は2012年に政界を引退したが、自身の政治資金管理団体「春風会」は2017年まで存続した。その収支報告書を見ると、組織委会長に就任した2014年1月以降も多額の資金を集めていたことが分かる。

 2014年は年間で6000万円超の収入があり、そのうちパーティー券収入は約5200万円。2016年にはザ・プリンスパークタワー東京の忘年会で一度に4902万円のパーティー券収入を得ている。政治資金規正法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が指摘する。

「収支報告書を見ると、プリンスパークタワーのパーティー券の購入者数は608人で、企業や団体が買ったと推測できる。現役の国会議員以上の集金力です。

 引退後も2014~17年まで自民党最大派閥の清和政策研究会へ計1300万円の献金を続けており、政界に大きな影響力を維持していたことが想像されます」

 パーティー券の購入者には森氏の地元・石川県の企業が多く名を連ねるが、その中に東京五輪と関連する会社もあった。

 オフィスの間仕切りやトイレの個室の壁などパーテーションメーカーとして国内トップシェアを誇るコマニー(石川県小松市)はそのひとつ。春風会の収支報告書によれば、同社は2014年に40万円分のパーティー券を購入しており、東京都オリ・パラ準備局が発表した「東京2020大会に係る共同実施事業の契約案件一覧」には、選手村関連の間仕切り工事を受注したことが記されていた。

 日経電子版(2018年11月29日)では、〈コマニー、五輪効果〉の見出しで、〈首都圏で建設が続くオフィスや五輪関連の施設からの受注が増加(中略)増収増益に〉と取り上げられている。

 パーティー券の購入についてコマニーに聞いたが、「回答につきましては差し控えさせていただきます」(経営企画部社長室)とのことだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト