ビジネス

コロナ禍に強いのは新規顧客獲得より「ファンベース」重視の企業

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 新型コロナウイルスの感染拡大や、人口減少にも負けずに、事業を継続、発展させるための考え方として「ファンベース」というものがある。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、「ファンベース」と諏訪中央病院との共通点についてつづる。

 * * *
 関西で人気のラジオ番組「おはようパーソナリティ道上洋三です」(ABCラジオ)の1月の特番に出演した。道上さんは筋金入の阪神ファンで、おもしろいオジサン。そんな道上さんが好きで、声をかけられると、ぼくは大阪まで行く。

 その番組で、ファンベースカンパニーの会長、佐藤尚之さんと出会った。日本は2008年頃をピークに人口減少時代に入った。2020年は1年間で50万人以上も減少した。そうした新規顧客の獲得が難しい時代で生き抜くために、「ファンベース」という考え方を打ち出している。佐藤さんが考える「ファンベース」とは、企業や商品を愛してくれるファンを大切にすることをベースにして、中長期的に売り上げや事業価値を高めていくというものらしい。

 たとえば、人通りの多い所にある店は、コロナで人通りが減ると、お客がパタッと止まってしまう。それに対して、住宅街で隠れるようにしてやっていた名店には、相変わらずお客が入ってきている。ファンがついているからだと佐藤さんは言う。コロナ禍で困っているのではないかと、ファンがお店を応援するのだ。

 新規顧客をどうやって増やすかということばかり考えがちだが、まず、ついているファンを大事にすると利益につながる。しかも、熱心なファンは、身近な人にすすめてくれる。情報の信頼度は、テレビやインターネットの広告の力よりも、家族や友人のほうがずっと高い。昔からの口コミはやっぱり強いのだ。

諏訪中央病院の黒字転換もファンベースだった?

 佐藤さんから、以前から会いたかったと聞かされた。累積赤字4億円の諏訪中央病院が経営を立て直し、地域で信頼される病院になっていった、その手法こそがファンベースだというのだ。

 46年前、ぼくが赴任したばかりの諏訪中央病院は、患者が来ない病院だった。しかし、地域は脳卒中が多く、発作で倒れた人は救急車で運ばれてきた。患者自身が病院を選んだわけではなかった。どうしたら患者が来る病院になるか、それは地域に信頼されることだと考えた。

関連記事

トピックス

財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト