ドラマ版でも人気を博したマンガ『恋する母たち』(女性セブンで連載)が完結した。同じ高校に息子を通わせる3人の母たちの恋と人生を描いたこの作品は、多くの読者が共感したことだろう。本作の連載当初からの読者である林真理子さんと作者・柴門ふみさんが、大人の女性の恋愛について語り合う。
「不倫」まではしなくても、日常のときめきはふとした瞬間に感じてしまうもの。林さんも、柴門さんも、「ときめきくらいないと、長年連れ添った旦那と長く夫婦なんてやってられませんよ」と言う。
林:そうだと思う。優子さん(登場人物の林優子。若い部下と不倫をする。ドラマ版では吉田羊が演じた)みたいに働いている女性だったら、男の人と2人でご飯を食べたりするだろうし、独身とほとんど同じよね。
柴門:そうですね。あの優子の恋愛パターンは、昭和の時代の男のサラリーマンがしていたことを女がしているんです。“嫉妬なんかしたらおしまい”“ここだけの関係でバレたら別れよう”なんて、男たちの言い訳を優子は言っているんですよ。
林:あぁ、それをすべてご主人(優子の夫・林シゲオ。売れない小説家。ドラマ版では矢作兼が演じた)が受け止めて。あんな旦那さんがいるといいね。家事をやらなくても許してくれるし、息子の大介君だってシゲオさんの子じゃなかったものね。
柴門:そうです。優子とシゲオの夫婦はああやって若い頃から人生が重なり合っていて、そういう男女はもう離れられないんですよね。ちょっとやそっとじゃ関係が崩れない。
林:私もそう思う。少し前までは、旦那とうまくいかなくなったらさっさと別れましょうよという流れがあったと思うんです。でも樹木希林さんによりまた流れが変わって、どんな夫婦でも最後までちゃんと添い遂げられることがやっぱりいい、という風潮に変わってきた気がするの。先日も旦那さんに先立たれた山村美智さんのインタビューを『女性セブン』で読んで心を打たれました。
柴門:私も読みました。旦那さんはポジティブで明るくて常にユーモアを忘れない、丸太郎(登場人物の今昔亭丸太郎。落語家。ドラマ版では阿部サダヲが演じた)みたいな人だった、って。山村さんはドラマでも杏(主人公・石渡杏。シングルマザー。ドラマ版では木村佳乃が演じた)のパート先の上司を演じてくださったんですよね。