柴門:ストレスは体に出てしまうから、ためないことが大事よ。ウチの夫と車に乗っていると、私の運転を見て夫がもっと早くハンドルを切れとか、もっとブレーキを踏んでとか言ってくるんですよ。それを見た友達が、“ねぇ、あそこまで言われてよく怒らないわね”って。でも私は運転があまり得意ではないので、夫にあれこれ言われても全然気にならないし、逆に言ってくれた方がいいかなって。だからたぶん、自分が気づいていないところで何か相性がいいから、ここまで夫婦関係が続いてきたんだなと思うんですよね。
林:私も“もう離婚だ!”と衝動的に思うことあるけど、そのたびに不思議な力が働いて引き留められるんです。沖縄の占いの人にも、あちらのご先祖があなたをすごく引き留めていますよと言われて(笑い)。
柴門:いいことって見過ごしてしまうものだから。林さんが気づいていないだけで、長い夫婦生活できっとすごくいいことがあったんですよ。
【プロフィール】
林真理子(はやし・まりこ)/1954年生まれ。コピーライターを経て、1982年に出版したエッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。『不機嫌な果実』『アッコちゃんの時代』『西郷どん!』など著書多数。1986年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞、1995年『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞などを受賞。2018年に紫綬褒章を受章し、『週刊文春』で連載中のエッセイは2020年に「同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネス世界記録に認定された。
柴門ふみ(さいもん・ふみ)/1957年生まれ。漫画家。1979年『クモ男フンばる!』でデビュー。代表作に『東京ラブストーリー』『同・級・生』『あすなろ白書』(いずれも小社刊)など「恋愛の神様」と呼ばれるほどいくつもの名作を生み出し、ドラマ化された作品も多数。『結婚の嘘』(中央公論新社)、『老いては夫を従え』(小社刊)など、恋愛や結婚、女性の生き方を鋭い筆致で書くエッセイにもファンは多い。
取材・文/渡部美也 撮影/田中麻以
※女性セブン2021年3月11日号