国内

受難のアスリート政治家 「乱闘で“最前線に行け”と言われた」と江本孟紀氏

参議院議員を務めた江本孟紀氏(左)が当時を振り返る(時事通信フォト)

参議院議員を務めた江本孟紀氏(左)が当時を振り返る(時事通信フォト)

「五輪の顔にふさわしい」といった期待の声に交じる「ただのお飾りだろう」という冷めた目線……橋本聖子・参院議員の五輪組織委会長就任への賛否の声は、「アスリート政治家」そのものへの評価とも重なる。彼女はその受難の歴史に、ピリオドを打てるのか。

 橋本氏をはじめ、プロレスの馳浩・元文科大臣、スピードスケートの堀井学・衆院議員、プロ野球の石井浩郎・参院議員など、自民党を中心に政界には多彩なアスリート政治家がいる。

 その元祖と言われるのが、東京五輪体操団体の銅メダリスト、小野清子・元参院議員だ。1986年、衆参同日選に打って出た中曽根康弘首相の要請で参院選に出馬。選挙中は演説する中曽根氏とのツーショットがメディアの注目を集め、当選を果たした。

 以後、アスリート議員はその数を増やし、1995年には“文教・スポーツ族のドン”である森喜朗・自民党幹事長が声をかけまくった結果、橋本氏や馳氏らアスリート政治家が大挙当選。対する民主党も2010年に“ヤワラちゃん”こと谷亮子氏を参院選に担ぎ出した。

 しかし、橋本氏や馳氏らの例外を除き、彼らがアスリート時代の実績に比べて政界で活躍したとは言いがたい。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、その実態についてこう語る。

「擁立する党としては、国会議員のアスリート枠は基本的にはタレント枠と同じで、集票のためです。だから、アスリート議員は参院の比例区が多い。比例区で立てると、知名度で票を集めて追加で1~2人当選できますから。本人の資質がどうかにかかわらず、田中角栄氏がよく言っていた“人寄せパンダ”と見られているのが現実です。

 だから、国会での活躍については正直、期待されていない。小泉政権の自民党で参院議員となったプロレスラーの大仁田厚氏なんかは、やる気を出して小泉首相を批判したりしたため、かえって党は頭を痛めていました。反対に橋本氏は上から言われたことを黙々とやってきて、自民党にとっては非常に都合のいい人材だということです」

 アスリート政治家自身、その扱いが身に染みている。1992年の参院選比例区にスポーツ平和党から出馬して初当選した江本孟紀氏(73)が振り返る。

「バカバカしい話ですが、法案の採決などで乱闘になりそうになると、『最前列に行け』と言われる。猪木さんや馳さん、大仁田さんとかは行っていたが、ボクは『乱闘でピッチャーは前に出たらアカンのですわ』と断わりました(笑い)」

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト