息子は最初、美紀子と離れることを嫌がりましたが、美紀子に席を外してもらい、話を聞くことができました。幸い、隆弘は息子に厳しく当たることはないため、隆弘のことは好きだ、と言いました。続いて美紀子について尋ねると、
「ママは大好きだけど、最近、一緒にいてくれない時があって、僕が泣いても側に来てくれなくて。僕、ずっと泣いちゃう。それに、呼んでるのにこっちを向いてくれなかったりする」
と打ち明けました。
「そんな時、どんな気持ちになる?」
と私が尋ねると、息子は「悲しい気持ち」と答えました。心が傷ついている、ということです。このことを美紀子に伝えると、美紀子は涙ぐんでいました。
浮気を認め謝罪しなければ、夫婦の関係修復は不可能
私は、私自身が隆弘を理解する必要があると感じ、次回のカウンセリングに隆弘に来てもらうことを美紀子に提案しました。隆弘が美紀子とやり直したい、という気持ちを持っているのか、浮気を認め、反省して謝罪する誠意があるのか。そして美紀子の今の心の状態、息子への影響、息子の心情を伝えた時に、自分が努力しなければ、という気持ちが持てる人なのか、変わろうと努力できる人間なのかを確かめるためです。
隆弘は最初は嫌がっていたそうなのですが、美紀子が今も浮気を疑っていることと、離婚を考えていることを伝え、第三者を交えて話をしたいと告げると、カウンセリングに来ることに同意してくれたのです。
私は、隆弘に、美紀子が浮気について確信を持っていることや、今後、夫婦関係を維持していくのは難しいと思っていることを伝えました。隆弘のスマホを見たことは伝えても構わないと美紀子から言われていたので、その事実も伝えました。そして、美紀子の精神状態についても伝え、
「かなり追い詰められているので、このままだと育児には間違いなく影響があります」