「いまや、地上波で演歌歌手の歌う姿はあまり見られませんが、BSではゴールデンタイムで毎日のように誰かが歌っています。五木ひろしは1月だけでBSに9本出演しています(再放送除く)。昭和の歌姫である美空ひばりもかなりの頻度で特集されます」
民放の地上波でほとんど放送されなくなった時代劇も、BSのキラーコンテンツだ。現在、月曜から金曜までの18時5分から19時までBSフジは『鬼平犯科帳』や『銭形平次』などを日替わりで、BS日テレは『伝七捕物帳』を、BS-TBSは『水戸黄門』を18時30分から19時30分まで再放送している。
「テレビのゴールデンタイムは19時から22時までと定義されていますが、高齢者は生活時間が少し早いため、BSで18時台はゴールデンタイムと同じように重視されています。BS朝日はこの時間帯に2時間ドラマを流していますが、1時間早い17時台に『必殺仕事人』、15時台は『暴れん坊将軍』を放送しています」
プロ野球が開幕すれば、民放BSの18時台はほとんど野球、歌番組、時代劇で占められることになる。
「ひとつひとつの番組でも、昭和を味わえる。たとえば、司会の岡田圭右のツッコミが冴え、認知症予防を謳う『クイズ脳ベルSHOW』(BSフジ)は回答者に昭和の人気者が並び、主に昭和の出来事をクイズにする。特番として、昭和のヒット歌手が集う『脳ベルヒットライブ』(同)も放送されています。各局には、そのものズバリ『昭和』と名の付く番組もある。BS-TBS『昭和歌謡ベストテン DX』、BS朝日『昭和のクルマといつまでも』、BSテレ東『武田鉄矢の昭和は輝いていた』がレギュラーとして放送され、特番も含めればその数はさらに増える。地上波の若者シフトを考えると、今まで以上にBSの昭和化が加速するでしょう」
昭和化したBS放送が、地上波に満足できない人たちの受け皿になっている側面もあるかもしれない。