チェキで自撮りされる眞子さまと佳子さま(2020年10月6日。東京・港区 写真/宮内庁提供)
告発の2日後の3月9日、エリザベス女王(94才)は「人種差別問題には注意深く向き合わなければなりません。(英王室メンバーの)記憶とは異なる部分もありますが、問題は非常に重く受け止め、家族内で対処するつもりです」と声明を発表した。前出の木村さんが解説する。
「重要なのは、エリザベス女王個人として声明を出したことです。日本では皇室の声明を宮内庁が発表するように、王室の声明は通常は『バッキンガム宮殿発表』です。しかし、それでは英王室の“本音”が伝わりにくいところがある。あえて女王の言葉をストレートに伝えたところに、問題の深刻さと女王の危機感が表れています」
英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんが続ける。
「アメリカでは『人種差別をされた』と訴えた人の言い分を信じない場合、“信じないこと自体が人種差別だ”として非難されることがあります。つまり、実際に人種差別的な発言があったにせよ、なかったにせよ、英王室がメーガン妃の発言を否定することはできないのです。そうした状況のなかで女王は“英王室は人種差別主義”というイメージを定着させないため、最大限に迅速な対応に出たのでしょう」
アメリカでは拍手喝采を受けた
メーガン妃がヘンリー王子と結婚したのは2018年5月のこと。アメリカ人、肌の色、年上、バツイチ、元ハリウッド女優というバックグラウンドは、英王室内では極めて異色だった。それでも当初、新風を吹き込む存在として大きな期待をされていた。
ところが、度重なる“伝統軽視”の行動により、英国民の期待は落胆へと変わっていく。夫妻はカナダへ移住し、2020年3月には王室を離脱。「王族の責任から逃れて、セレブ生活をしたいだけのわがままなカップル」と、イギリスでは大批判を受けた。今回の告発に対しても、「またお騒がせのメーガンか」と呆れる英国民は多い。
しかし、アメリカは違った。英世論調査会社が2000人以上のアメリカ人を対象に実施した調査によると、メーガン妃がインタビューに応じたのは「適切」という声が44%にのぼった。反対に「不適切」は20%と少ない。
さらに、「2人に共感する」という声は68%と過半数を超え、一方で「ほかの王室メンバーに共感する」の声は27%と少ない。アメリカでは、メーガン妃への同情の声が圧倒的なのだ。イギリスでは人気のない夫妻が、アメリカでは拍手喝采される存在になった。
「アメリカには王室がないので、ロイヤルとセレブの違いがあまり理解されていないのでしょう。ロイヤルは特権階級であり、義務と責任を伴うものだという認識が薄いのです」(国際ジャーナリストの山田敏弘さん)