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竹中直人が『青天を衝け』で放つ存在感 “烈公”徳川斉昭役を熱演

『青天を衝け』で存在感を放つ竹中直人

『青天を衝け』で存在感を放つ竹中直人

 吉沢亮が渋沢栄一を演じて話題のNHK大河ドラマ『青天を衝け』。21日放送では世帯視聴率は15.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と好調を続けている。個性あふれる出演陣が揃うが、特に存在感を放つのが徳川斉昭を演じる竹中直人(65才)だ。コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。

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「困った時はおやじを出せ!」というのは、私が勝手に言ってるヒットドラマの鉄則だが、今期は『青天を衝け』で竹中直人演じる徳川斉昭の鼻息が荒い。

 水戸藩主の斉昭は、黒船来航で大混乱の江戸城で、対応に追われる老中、阿部正弘(大谷亮平)らに「(外国勢など)打ち払ってしまえ!!」「なんと腑抜けな」「黙れ黙れ黙れ!!」と怒りまくる。下田沖で津波のためにロシア船が転覆した聞くと「神風が吹いたのじゃ」「皆殺しにせよ」などと発言して、知識人の側近・藤田東湖(渡辺いっけい)に彼らにも祖国に親や友がいるのだと諭される過激殿様。ニックネームが「烈公」というのも納得だ。

 一方、斉昭は、期待の息子・七郎麻呂に徳川御三卿の一橋家への養子話がくると、一度は断りながら、心の中ではガッツポーズ。口癖の「快なり!!」が飛び出す。さらに息子が十二代将軍・家慶(吉幾三)に可愛がられ、名前を慶喜(草なぎ剛)と改めると、ますます「わが息子が将軍になるやも」と目を輝かせるのである。面白いのは、ここで竹中直人の「特技」が発揮されていること。竹中と言えば、デビュー当時、「笑いながら怒る人」という持ちネタで人気を博していたが、この斉昭は「怒りながら(息子のことで)笑う人」になっている。

 歴史に残る「キャラが立った殿様」「カミナリパパ」である斉昭は、これまで名作ドラマや映画で大物俳優が演じてきた。実は「ドラマの隠れた大黒柱」なのである。

 最高視聴率25%を超えたTBSの人気シリーズ『江戸を斬る』では、名奉行・遠山の金さん(西郷輝彦)の愛妻で、しばしば紫頭巾を被って自ら悪を成敗する雪姫(松坂慶子)の父が斉昭という設定で、演じたのは昭和を代表する俳優・森繁久彌だった。姫が刀を持って暴れても怒るどころか目を細めて見守るって。懐深すぎだ。

 井伊直弼を主人公とした大河ドラマ第一作『花の生涯』で斉昭を演じたのは、嵐寛寿郎。昭和の映画全盛期に正義の味方『鞍馬天狗』などで大人気となった名優だ。その後、1990年『翔ぶが如く』に金子信雄、1998年『徳川慶喜』では渋い声の菅原文太斉昭が登場。印象的だったのは2008年、宮崎あおいが主演した『篤姫』の江守徹だ。江守の斉昭は、島津の姫である篤姫が将軍の正室になるのが気に入らず、嫌な顔。口をへの字にしてのしのしと歩き、怒りっぽい上に、大奥も「金がかかる」と批判するので、大奥の女子たちは斉昭の気配がしただけで、眉毛を吊り上げていた。

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