重大な病気でも初期症状は見落としがち
国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。
「『スキルス胃がん』はがんが胃壁や胃の組織にしみ込んでいくように進行するもので、内視鏡検査で見つけることが難しく、症状が出たときにはすでに手の施しようがないことも多い。東ちづるさんもそうですが胃の痛みや嘔吐など、胃潰瘍の症状からすぐに胃がんが発見されたのは、幸いだったというべきです」
大腸がんや胃がんの症状として貧血が表れる理由を、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが解説する。
「がんが進行すると、がん組織から少しずつ出血が起こり始めます。ごく微量の出血でも長期間にわたって続けば、何リットルもの出血になります。特に胃や腸などの管腔臓器は出血が簡単に止まらないので、貧血になりやすいのです」
乳がんは死亡数では5位だが、罹患率では1位。50年前は乳がんになる女性の割合は「50人に1人」といわれていたが、現在は「11人に1人」が乳がんにかかるとされる。
アグネス・チャン(65才)は52才のときに乳がんを宣告された。自宅でテレビを見ていると、右の乳房がかゆくてかいていたという。そのとき、「少しでも異常が見られたら病院で診てもらった方がいい」と、出席したがん啓発イベントで言われたことを思い出し、すぐに病院に向かった。
「発見が早く、不幸中の幸いでステージ1でした。手術はしましたが全摘出にならず、しこりはわずか4mm。周囲からは『痛みもかゆみもないのが乳がんの特徴なのに、よく気づいたね』と言われたそうです」(芸能関係者)
リンパへの転移もなかった。
「乳がんはがん組織がしこりなどの形で体表にあるので、触診で見つけやすく、早期であれば治りやすい。ただ、胃がんや大腸がんなどは手術できっちり切除すればそう簡単に再発しませんが、乳がんは10年くらい経った後でも再発する人がいるので警戒が必要です」(上さん)
女性特有の子宮頸がんを患ったのは原千晶(46才)。30才のときだった。彼女は初期症状について、あるインタビューでこう語っている。
《もともとすごく生理が重いほうだったんですが、それが徐々にひどくなっていきました。ほかにも不正出血があったり、おりものがふえて、今までにない色だったりと、いろいろな異変が続きました》