スポーツ

「1986年の清原和博」山田、村田ら名投手たちが体感したその凄さ

1986年にデビューした清原和博の怪物っぷりを名投手たちが振り返る(時事通信フォト)

1986年にデビューした清原和博の怪物っぷりを名投手たちが振り返る(時事通信フォト)

 阪神の新星・佐藤輝明(22)がどれほどの活躍を見せるのか、多くの野球ファンが固唾をのんで見守っている。同じような興奮は、35年前にもあった。そう、甲子園を沸かせた清原和博が快進撃を続けた1986年である。

 甲子園通算13本塁打という、いまだ破られぬ記録を引っさげプロの世界に入った清原を取材しようと、西武の高知キャンプには報道陣が殺到。しかし、オープン戦ではプロの壁にぶちあたり、打率2割2分で本塁打はゼロに終わった。打率3割2厘で新人記録となる6ホーマーを放った佐藤とは対照的だった。

「鳴り物入りでプロ入りした清原に、最初は温かかったファンも、『この三振王!』とヤジを飛ばした。苦しみぬいた清原の体重は5kg落ちたそうですが、土井正博バッティングコーチとマンツーマンで1日800スイングの猛練習をして開幕を迎えました」(スポーツ紙編集委員)

 シーズン開幕戦の南海戦(西武球場)はスタメン落ちし、2戦目に途中出場するも7回の第1打席は四球に終わった。

 だが9回2死で迎えた第2打席にドラマが待っていた。藤本修二が投げた初球の内角ストレートを完璧にとらえると、打球は8mの逆風をものともせず、左中間の芝生席に飛び込んだ。打たれた藤本も「まさか、あの逆風で入るとは……」と言葉を失った。

 この瞬間から、怪物・清原のプロでの伝説が始まった。

 翌日の開幕3戦目も途中出場で2安打を放ち、レギュラーの座をもぎ取った。その後、プロの洗礼を受け打率が1割台に低迷しても、監督の森祇晶氏は頑として清原を一軍で起用し続けた。

「清原が二軍なんてありえなかった」と森氏が当時の心境を明かす。

「清原は他のルーキーとはまるでモノが違った。体も大きかったし、PLの中村順司監督に基本を叩きこまれていて、野球人として高校生離れしていました。

 あとはプロの環境とスピードに慣れる期間が必要でしたが、あれだけの素質を持った選手なので、やはり高いレベルの一軍で育てていくべきだと考えた」

 森監督の期待に清原は見事に応えた。GWを境に調子を上げ、7番ファーストに定着して打ちまくった。5月の月間打率は3割2分4厘を記録し、打順も6番、5番と昇格を続けた。

 5月22日の阪急戦(西武球場)では、大エースの山田久志氏と対戦。当時、すでに260勝を積み上げていた山田氏がアンダースローから繰り出した渾身の一球を、清原は力強くバックスクリーンに叩き込んだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
男が立てこもっていたアパート
《船橋立てこもり》「長い髪に無精ヒゲの男が…」事件現場アパートに住む住人が語った“緊迫の瞬間”「すぐ家から出て!」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン