子供が嫌がったり、親から抗議がきたりするからと、教育内容も変わっている。中学校で行われていたカエルやフナの解剖はなくなり、代わりに意外な動物が解剖されている。長年、現場教員の養成に携わってきた教育評論家の石川幸夫氏が語る。
「今はイカの解剖に入れ替わっています。教科書も書き換わった。カエルだと残酷に感じるが、イカは食べるものでもあるから調理感覚でできる。そういう意見が強くなったようですね。イカでもある程度はわかりますが、本当はカエルやフナのほうが人間の臓器と似ているところはあるんですけどね」
本来は実験動物の種類によって命の尊さが違うことはないのだろうが、子供や親の意見が優先されるのが現代の教育現場ということのようだ。生き物といえば、かつては卒業シーズンの定番だった「アレ」も今はなくなっているという。
「卒業記念樹を植える学校は、都会ではほとんどなくなりましたね。成長すれば電線に引っかかったりするし、手入れが大変、落ち葉の掃除が面倒などの理由で学校側もやりたがらない。記念樹だと、邪魔になったからといって伐採すると、植えた人たちから苦情がくるリスクもありますしね。だいたい今の子供は、夏の校庭で木陰で涼むなんてことはありません。教室はがんがんクーラーが利いていますからね(笑)」(中学校のベテラン教員)
行事では、マラソン大会も風前の灯火だ。道路を走るのは危険だとか、子供が倒れるなどの事故が起きていることが理由だが、学校側の本音は違うケースもあるようで、「荒れている学校だと、マラソン大会中にエスケープしていなくなる生徒が出るからやれない」(同前)なんて事情もある。
令和の学校の光景は、親世代には新鮮すぎるかもしれない。