黒木華は堅物裁判官を熱演
まず、演出力が光る。テンポよく細部まで丁寧に作り込み、説明は超コンパクトにまとめて時にアニメも使いつつ、くだぐたしそうな部分を上手く処理。それによって、大事な要素である竹野内豊さんや黒木華さんら「役者」に視聴者が集中できるよう、全体を構成しています。
なるほど演出は『コンフィデンスマンJP』シリーズ等を手がけた田中亮氏らが担当。説明に足を引っ張られずトントンと進んでいく人間ドラマに引き込まれ、第一話をあっという間に見てしまいました。
2つ目に、脚本のユニークさ。原作は浅見理都による同名漫画で、スポットライトの当たらない裁判官に焦点をあわせた慧眼に感服。「裁判官も普通の人間でありいろいろな人の話を聞かなければいけない」という基本軸をぶれずに貫通させている。しかも取材を重ね法律家に監修してもらっている原作は骨太。それを『絶対零度』シリーズなど手がけた浜田秀哉氏が脚本化し、さらにドラマでは原作者了承のもと主人公をポップなイケメンに変え、また相手役・坂間は原作では男性ですが女性に変更するなど、大胆にアレンジしています。
3つ目として、役者の魅力が際立っています。主人公・入間の独特なキャラクターを軽妙爽やかに演じる竹野内豊さん。そして、入間に対峙する超堅物裁判官・坂間千鶴を黒木華さんが演じ、頑固なキャラに成りきっています。二人の演技がせめぎ合い対照的なコンビの姿が鮮やかに浮き上がる。役者を見る醍醐味に満ちていそうです。
袖が広がっていて腕を上げるとカラスにも見える裁判官の「法服」。六法全書の「黒子」として法服を纏う裁判官が、実は空に飛び立ち羽ばたくカラスでもある、というこの物語。人が人を裁くことの難しさと苦さを、軽妙なウイットに包みながら描き出していく。来週第二話は、前田敦子さんが幼児虐待で起訴され“鬼女”とののしられる母親役で登場するとか。予測を裏切って乱反射していくような、見応えのある人間ドラマを期待します。