公開記念イベントに揃って登場(時事通信フォト)

菅田将暉と有村架純は映画に続いて共演(時事通信フォト)

 タイトルからわかるように「コント」「お笑い」が主な素材のため、コメディドラマを予想し「お軽さ」を感じて食わず嫌いの視聴者もいるのかもしれません。しかしそれではあまりにもったいない。なぜなら、このドラマは安易に笑いを取りにいくのではなく、若い人にも年寄りにも響く普遍的なテーマを埋め込んでいるから。

 それは、自分らしく生きていこうと格闘する人の切ない姿です。仲野さん演じる潤平はストレートで感情豊かな三枚目で一見明るいけれど、内面に繊細で複雑な迷いが宿っている。

 少し前なら「お笑い芸人」がミュージシャンだったりサッカー選手だったり、中高年世代であれば野球選手だったのかもしれません。憧れの対象は時代によって変わっても、常に人の心を揺さぶるのは「ピュアでみずみずしい魂」。諦めかけた夢を必死に追い求める切なさを描き出すという意味でこのドラマは王道を行っています。

 役者もズラリ揃っています。ムードメーカー・潤平と裏表をなす役・瞬太に、神木隆之介さん。今や俳優のみならず声優としても飛ぶ鳥を落とす勢いの神木さんですが、プロゲーマーを挫折し「マクベス」に加わった中途半端な瞬太を、抑制的な演技によって味わい深く浮かび上がらています。

 一方、リーダー格の春斗を演じているのは、見ない日はない程露出中の人気役者・菅田将暉さん。有村架純さんとの共演も「食傷気味」という声がたしかに聞こえるけれど、ドラマの中の春斗の生真面目さと逡巡ぶり。夢にかける魂の力がほとばしっています。

 という3つの違う個性のぶつかり合いが最大の見所ですが、もう一つ見所が。それはドラマのユニークな構造です。冒頭、唐突にコントの舞台からドラマは始まり、コントのテーマ(第一話は「水のトラブル」)が提示される。

 そして、舞台を下り日常の中へと物語は進行し、エンディングでもう一度、コントで示されたテーマを絡ませて鮮やかにオチがつく。

 なるほど、入口と出口とはこういう構造でつながっていたのか、と膝を打つのです。しかも、そのテーマはちょっとした思いつきや小手先のお笑いではなく、きちんと主旋律と響き合ったアイテムとなっています。イマドキの青春ドラマとして、キラキラと眩しい役者陣の演技とあわせて注目です。

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