芸能

『コントが始まる』の仲野太賀 超絶リアル感で若手屈指の存在に

(写真/時事通信社)

八面六臂の活躍(時事通信フォト)

 表情豊かに芝居できる若手俳優、というと、少なくない人がこの俳優の名前を挙げるのではないか。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 毎年気温が上昇してくる季節にインパクトを放つのがキンチョー「虫コナーズ」のCM。奇妙な関西弁とおばちゃん挙動で目を引く長澤まさみさんが話題に。でも、最近長澤さん以上についつい視線がいってしまうのが、弟役として登場する仲野太賀さんの「きょとん顔」です。

「期限の切れた去年の虫コナーズでは無防備やねん」と姉役・長澤さんが言う。「おでこにパスワード書いて歩いているようなもんやで」と素っ頓狂な言葉をかけられて、「きょとん顔」で反応する弟・仲野さん。最後は深く納得した表情をして余韻を残してくれます。

 CMという短い時間の中で、特に弟はセリフもほとんど無いというのに、二人の間に絶妙なやりとりが生まれる。何とも奇妙な空気感が伝わってくる。

 と優れた演技感覚を見せる仲野さんですが、ドラマにおいて最初に爪痕を残したのが宮藤官九郎脚本の『ゆとりですがなにか』(2016年 日本テレビ系)。仲野さんが演じた「ゆとりモンスター・山岸ひろむ」は忘れがたいキャラクター。あれほど人をイラつかせムカつかせる人物はいないと話題に。

 遅刻しても「道分からなくて駅からタクっちゃいました」と先輩にあっけらかんと言い放ち、「メールあまり見ないんで、次からLINEにしてくれます?」とのたまう。実に憎々しくむかつく「モンスター」を見事に体現してみせた。ドラマ放送時はツイッター上でも「山岸に街で会ったらぶっ殺す」「あいつマジ殴りたい」と書かれたほどリアルで注目されました。

 そう、仲野太賀という役者の凄い点は「いるいる、たしかにこういう人」と思わせる超絶リアル感。作品によって演じる役柄は変化していくけれど、「キャラクターの輪郭を明解にくっきりと描き出すこと」において仲野さんの右に出る若手はいない。

 例えば公開中の映画『すばらしき世界』では、出所した元やくざを追いかける若手テレビディレクターを演じていますが、取材する側として気持ちが揺らいで変化していく微妙なプロセスを描き出しています。

 そう、人って複雑で矛盾していて時に環境によって変化していく。そんな人間が愛おしいと感じさせてくれるような演技です。

 その仲野さんが今、水を得た魚のように躍動しているのが、ドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系土曜午後10時)。脚本は第38回向田邦子賞受賞の金子茂樹さんのオリジナル。

 物語は……売れないお笑いトリオ「マクベス」の3人組--春斗(菅田将暉)、潤平(仲野太賀)、瞬太(神木隆之介)と、ネタ作りの場であるファミレスの店員・里穂子(有村架純)、その妹(古川琴音)5人の群像劇。

 憧れのお笑い芸人。しかし、夢にたどり着く道のりは想像以上に険しく、オーディンションは落ちまくり観客は集まらず。人生の葛藤と苦み。「マクベス」はとうとう2ヶ月後の解散を決める。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン