ビジネス

ワークマンは今後も成長できるのか 作業服店で培ったノウハウが通用しない局面へ

作業着を主体に販売する従来のワークマン店舗

作業着を主体に販売する従来のワークマン店舗

 売れ筋の「定番商品」をコンスタントに長く販売する手法は小売業界にとって大事な戦略といえるが、その比率ばかりに頼っていると足下をすくわれかねない。それは人気絶頂のアパレルチェーン「ワークマン」でも同じだ。ファッションジャーナリストの南充浩氏が、ワークマンの“死角”を敢えて指摘する。

 * * *
 大量の衣料品の売れ残りが問題視されるようになって「定番商品を長期間売る」というやり方が改めて注目されるようになりました。この売り方を実践していると目されているのが急成長中の「ワークマン」です。

 作業服チェーン店として拡大してきたワークマンは、ほとんどの品番が3~5年かけて売り尽くすことが知られています。これは(制服も含めた)作業服という分野ならではの消費サイクルで、一般的に「ユニフォーム」と呼ばれる製品は、何年間かモデルチェンジしません。

 また利用者も短期間でのモデルチェンジを求めていません。なぜなら、趣味で着ている物ではなく仕事着だからです。もちろん、カッコよさがあればそのほうがベターですが、それよりも機能性や作業効率が重視されます。

 気に入ったものであれば、むしろ買い替えや買い足しの際にモデルチェンジしていないほうがいいのです。制服についてもほぼ同様で、ややこしくなるので制服も頻繁なモデルチェンジは利用者から望まれません。せいぜい3~5年に一度で十分でしょう。

 それゆえにワークマンは3~5年のモデルチェンジというサイクルで商品を販売することができていました。

売上高1000億円も視野に入ってきた

 ワークマンの急成長の要因は、カジュアル使用を目的とした一般消費者の取り込みにも成功したことです。従来通りに作業員客の需要だけなら、ここまでの急成長は不可能だったでしょう。

 ワークマンの2021年3月期第3四半期決算を見てみると、売上高831億200万円(対前年同期比16.1%増)、営業利益201億3200万円(同23.6%増)、経常利益212億7700万円(同21.4%増)、当期利益133億3600万円(同22.9%増)と、コロナ禍に見舞われながら大幅な増収増益を達成しました。

 また、2021年3月期の見通しは、売上高990億700万円、営業利益218億4700万円、経常利益233億4300万円、当期利益155億3900万円と、こちらも増収増益となっており達成はほぼ間違いないでしょう。コロナ禍で苦戦を強いられるアパレルが多い中においては特筆すべき好業績です。

 いよいよ売上高1000億円の突破が近づいており、2022年3月期では間違いなく突破できるでしょう。

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン