大相撲のチケット販売の仕組みは、もともと複雑怪奇なものだ。維持員席もあれば、相撲茶屋や協会関係者が仲介する席もあり、窓口やネットで一般販売されるのは全体からみればごく一部とされる。コロナで入場制限によって席が減った上に、本来は九州開催の11月場所、大阪開催の3月場所などが東京開催となったことで、地方場所の維持員へのチケット案内がどうなるかといった問題も生じ、協会は対応に追われていた。
「そうしたなかで注目を浴びたのが『溜席の妖精』だったわけです。ただ、彼女にチケットを手配していたとされる重鎮の親方が定年を迎えて協会を退職したことで、状況は変わっていくのではないか」(若手親方)
来場所(7月場所)からはコロナ以前の予定に戻り、名古屋で開催される見通しであることも影響する可能性があるという。
「年に1度しか回ってこない地方場所では溜席を希望する地元の好角家が多く、とりわけNHK中継に映る向正面はプラチナチケットになる。通常開催に戻ればチケットの配分方法は元通りになり入手はなかなか難しくなるから、しばらく姿が見られなくなるのではないか」(前出・若手親方)
妖精の“皆勤”は今場所で途絶えることになるのかもしれない。