「私はなんとか予約できましたが、列の後ろの人たちは“定員に達した”と言われて“それならもっと早く伝えろ!”と怒鳴り声を上げていました。せめて整理券を配るとかすればいいのに……」
医療機関に電話がつながらないため、「直接行った方が早い」と義父に頼まれ、車を走らせたのは、埼玉県に住む主婦Dさん(50才)だ。
「同じような考えの高齢者がたくさんいたのか、付近の道路は病院の駐車場に入れない車で大渋滞。救急車が立ち往生し、迂回するような事態になりました。結局、1時間以上待って駐車できましたが、病院の入り口では“ワクチンの受付は終了しました”と言う看護師さんの叫び声と“ふざけるな!”と言う怒号が飛び交っていました」
愛知県では12日、病院から「通院患者ではないため、健康状態が把握できない」と予約を断られたトラック運転手の66才男性が、腹いせに病院のドアのガラスを割り、器物損壊容疑で逮捕される事件まで起きている。
不備だらけのワクチン予約に、全国各地でイライラがピーク。静岡県に住む女性Eさん(79才)も「不公平さ」に憤る。
「ネットに詳しくないので電話予約にしたのですが、何百回かけてもつながらない。結局、予約できないまま定員に達しましたが、“私は基礎疾患がないし、仕方がないか”と思うことにしました。
ところが、予約が取れたという知人は、“電話がつながらないって市役所に苦情を入れたら、その電話で予約を取ってくれた”って言うんです。驚きましたよ。真面目に生きている人が報われない社会なんだって、本当に嫌になりました……」
取材で浮かび上がってきたのは、自治体によって状況が千差万別ということ。電話予約を受けるスタッフが多かったり少なかったり、ウェブ予約のシステムが強固だったり脆弱だったり、受付の窓口数が多かったり少なかったり、市町村ごとに事情がまったく違うのが実態。つまり、自治体によって、「予約しやすい方法」が異なるのだ。
スムーズに予約するには、以下の方法を試してほしい。
●同じ地域の住民と「どの方法が混んでいるのか、空いているのか」を積極的に情報交換して、「空いている予約方法」を狙う。
●1つの申し込み方法にこだわらず、複数の予約方法に挑戦する。
●総じて、「役所や病院の窓口→インターネット→電話」の順番で混雑しているようなので、困ったら窓口に足を運んでみる。
いずれにせよ、「ワクチンの本数自体は想像以上に余っている」(厚労省関係者)というので、「少し待てばいずれ受けられる」と心の余裕を持って、イライラしないことも大切かもしれない。
※女性セブン2021年6月3日号